カルビ家の日常

カルビ家の日常

その1



カルビ運転の車に乗り、さちの実家へマールを迎えに行く。

カルビはやや涙目である。
愛妻との暫しの別れが寂しいのでは決してなく、自分が日本に置いて行かれるのが辛いらしい。
ごめんね、カルビくん。

さち・マール姉妹、名古屋空港へ到着。

涙目のカルビに別れを告げ、小躍りしながらエントランスへと急ぐ。


TちゃんM子ちゃんは時間どおりに到着しており、
時間にルーズな自分達を恥じる…

フリをした。


今回は便利な直行便ではなく、マレーシア経由便だった。
名古屋~クアラルンプール(マレーシア)~プーケットという乗継コースである。


我が妹、マールはこれが記念すべき初海外旅行だった。

優しき姉は、
「マール、飛行機の中は寒いから1枚羽織るものを持ってきた方がいいよ」
と事前に言って…

おくのを忘れ、マールは見事にノースリーブに素足。
彼女はブランケットを何枚も重ね、懸命に寒さを凌いでいたようだ。
ごめん、マール…。


クアラルンプール国際空港(通称KLIA)は、広大な敷地に建っている。
空港内には2つのターミナルビルがあり、そのターミナル間はエアロトレインに乗って移動する。
ここは緑も多く、素晴らしい建物だ。
日本人が設計した…と聞いたが、名前を忘れてしまった。


KLIAはシンガポールと並んで、ここを中継しアジアから世界中へ飛ぶ大きな航空拠点だ。
もちろん、私達の他にも色んな人種がいる。

初海外のマールは、初めて見る黒装束の団体に圧倒され、彼らをバックに写真を撮って欲しいと姉にせがんだ。

子犬のような目で訴えられたら、姉は断れない。
マールは私にカメラを渡すと、一目散に黒装束団の近くへ走って行き、わざとらしくポーズを取った。
黒装束団をバックに、浮かれた妹の写真を撮る姉。

それを見守る、TちゃんM子ちゃん姉妹。


* * * * * * * *

機内では昼食とおやつが出て満腹になっていたのに、KLIAからプーケットへ向かう機内でもタイカレーが振舞われた。

機内食

プーケット到着後にタイ料理のディナーを予定していたため、お腹いっぱいにならないよう各人に注意をする。

が、カレー大臣の異名を取るTちゃんは、ペロリと平らげていたようだ。

* * * * * * * *


プーケット全図

プーケットに着いたのは夕方遅く。
さすが雨季。
どんよりとした曇り空が私達を歓迎してくれた。


空港出口ではガイドさんが待っていて、専用バスに乗って街へ向かった。

空港から街までは約1時間。
途中、走り屋が喜びそうな曲がりくねった山道を通過。


「ウゥ…」
タイカレーが効いたのか、青い顔のTちゃん。

「下向いちゃダメだよ。遠く見なよ」
姉の心配をするM子ちゃん。

ほほえましい姉妹愛を垣間見た。


今回のパックには、ホテルでの毎朝食の他に1回分の夕食が付いていた。

私達はガイドに連れられ、山道に建っているオープンエアの“サラタイ”という店へ行った。
そこで、プーケットでの初ディナーを楽しんだ。
トムヤムクンやカニ炒めなど、タイ料理のコースで、私達は大満足だった。


姉同士は食べ物の好き嫌いがなく、何でも食べる良い子だ。
姉達は旅行前、お互い妹のことを心配していた。

長女は初めての子供なので、親から好き嫌いなく食べるように教育され、幼少の頃は苦手だったものもだんだんと克服し、いつのまにか何でも食べられるよう育つ。

次女は一般的に自由奔放な性格で、要領がいい。
我が道を往くので、嫌いなものは食べない。
親も長女には必死になるが、次女の頃には手抜きを覚えて要領よく接する。
そして結局、
「しょうがないわねぇ」
という言葉で片付けられてしまうのだ。
当然、嫌いなものは嫌いなまま。

「うちの妹、タイ料理食べられなかったらどうしよう…」
「そしたら、お菓子とかで済ませそう」
「うわ~。ありえる!!」

という会話を、姉同士で何度もした。


しかし、姉の心配は全く無駄だったようだ。
妹たちは嬉々としてタイ料理を楽しんでいた。
これには助かった。



食後のデザートも南国ならではのフルーツが沢山。
マールは毛がいっぱい生えたランブータンに興味を示し、これでポーズを取るから写真に撮ってくれと姉にせがんだ。


ところで、今食事をしているパトン地区はプーケット島の西部である。
さっき降り立ったプーケット空港は、島の北部に位置する。

滞在するホテルはというと、空港の更に北。

パックの食事場所は変えられないらしく、わざわざ1時間かけてここまで来たのだった。
さて、ここから来た道を空港まで戻り、更に北の果てを目指す。


今回滞在するのは、JWマリオット・リゾート&スパ。

姉達がホテルの写真を見比べて勝手に決めた。


2姉妹を乗せた専用バスは、1時間半かけてホテルへとひた走る。


* * * * * * *

ホテルへ着いたのは夜の11時近く。

ホテルの門では警備員による車内チェックがあった。
車を降り、フロントに向かう前には荷物検査。

ほんの1週間前、ジャカルタのマリオットホテルで爆弾テロがあったせいでホテルの警備は厳重だった。

ウェルカムドリンクを飲みながら荷物を見せ、金属探知機で隅々まで調べられた。


さすがJWがつくだけあって、そこは豪華なホテルだった。

フロントでは日本人の従業員が、私達のチェックイン手続きをしてくれた。
事前に、2部屋が1枚のドアで繋がっている部屋をリクエストしていたのだが、ホテルの都合により取れなかったらしい。
「代わりに、近い部屋同士を取るためにアップグレードしておきました」
とのこと。

そして、私達は1階の庭付きの部屋に案内された。
小さな庭だが、デッキチェアが付いている。
室内には“サラ”という昼寝のスペースもあった。

とても気に入った。



    【サラ】              【ベッド】
サラ部屋ベッド





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