勝手に最遊記

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Comouflage ―7―


何か問題を起こせば、三蔵達に迷惑がかかってしまうだろう。


・・・でも。

彗の事が気になるのだ。純粋な目をしたあの子が・・・大桷に似ていて。丁度、年齢も同じ15歳。何とかしてやりたいと思ってしまう。


八戒が軽くため息を付いた。
「貴女がそうだと・・・機嫌が悪くなる人が居るんですよねぇ。」
へ?・・と振り返ると、
椅子の背を抱え、いじけた顔をしている悟空が目に入った。

「・・悟空ちゃん・・?」つい、ちゃん呼びしてしまう。悟空がガタガタと椅子を抱えながら移動してくる。

「っだよー?俺、隠し事されるのが嫌いなんだよっ!悩みとかあるなら言ってくれよ!そりゃ俺、ガキだけど?
でも、話するだけでも気が楽になる事だってあるじゃん!なっ?」

懸命な悟空の顔を見ていると、自然に笑みがこぼれた。

「あは・・ありがとね?でも、気にしないで。大丈夫だから。」

「そーかー?ふ~ん・・。」イマイチ納得できないのか、むくれたままの悟空。

「ったく、お子様が。こーゆー時は、黙って見守ってヤルもんだぜ?」悟浄が余裕シャクシャクという顔で、煙草をふかす。

「っせーな!お子様で結構だよっ。気になってるのに聞けない大人になんかなりたくねーよっ!!」
ベエッと舌を出して悟浄を挑発する。

「んだと・・。」ガタッと悟浄が腰を浮かしたが、「あ~・・・イイのかな~?銃で撃たれてもっ。」
既に、三蔵が銃を取り出し、安全装置を外している。

「「・・・・・。」」悟空と悟浄は大人しく椅子に座りなおした。

不機嫌に銃をしまう三蔵を見て、八戒がコッソリ苦笑した。




コンコン・・・彗が顔を出した。

「三蔵様。寝所の用意が出来ました。」

「此処で寝るんじゃないのか?」三蔵が面倒くさそうに顔を向けた。

「はい。此処にはお供の方々が。三蔵様には特別に個室を用意させて頂きました。」

「さっすが三蔵サマ。寝るのも特別待遇ってワケ~?」ヤレヤレと言うように、悟浄が手を挙げた。

「・・すみません。」彗が頭を下げる。

「彗の所為じゃないだろ?気にすんなよ。」どーせ僧正とかの言い付けなんだろ?と、桃花が取りなす。

「ええ・・。あの、大桷様・・大桷も、三蔵様とご一緒に個室へと。」


―――――――――――「「「「はあっっ!?」」」」――――――――――――


「なっなんで俺が三蔵・・サマと個室なんだっ!?」桃花が食ってかかる。

「えっ・・いえ、身の回りのお世話をするなら、ずっと一緒に居られるだろうから・・用意せよとの僧正様の言い付けで・・。」

『あのクソ僧正っ・・・!!』桃花に殺意?が芽生えた。

先程の【三バカ不細工トリオ】の話から推察すると、自分は三蔵の“お稚児さん"と思われているから・・・
きっと夜も一緒だって思ってやがるんだなぁ~!!

「い、いや・・三蔵サマは一人で寝ないと、眠れない体質だから。」
なんとか三蔵との個室は避けたい。一晩中、ケンカしてそうな気がするのだ(しかし と書けるかも知れない。)

「・・・俺も一人の方が落ち着く。」流石の三蔵も、桃花との同室は避けたいようだ。

「そうですか・・?でも、三蔵様が眠られるまで、お世話をなさいますよね?」
怪訝な顔の彗。
「は・・ははは。そりゃ、もちろん・・。」仕方なく頷く。

「では、ご案内します。どうぞ。」先に部屋を出る彗についていこうとしたが、

「・・・荷物。」三蔵が桃花に自分の荷物を渡す。

さっさと部屋を出る三蔵の背中を睨み付けながら「かしこまりましたっ・・・!」
どす黒い笑顔を浮かべ、出て行った桃花。


「・・・会話に入れませんでしたねぇ。」
「厄日だな、アイツは。」
「・・・帰ってきた時が恐いんですけど、俺。」
「キューッ・・。」
三人と一匹が、長い夜になりそうだと確信した。




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