勝手に最遊記

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Comouflage ―12―



皆、眠っていて・・・いや、悟浄と八戒は自分が来たのに気付いていると思うが、特に何も言われなかったので、早々にベッドに入った。


『・・・明日、頑張ろうっ・・。』アッという間に眠りに落ちていった。



「・・・寝たか?」「みたいですね。」悟浄と八戒が、そっと起き上がる。

「あー・・・何かされるかと思ったぜ。」仕返しに脅える悟浄に、

「大丈夫でしょう。根にもつタイプでは無いですからね。」クスッと笑って、八戒が言った。

「・・・でも、気になるな。」「・・・ですね。」
悟浄と八戒が心配しているのをよそに、桃花は健やかな寝息を立てていた。


・・・一番、苛立ちを見せていた悟空も、深い眠りの底にいた。

「悩んでいるのが馬鹿らしいな。」
「ですね。」
悟浄と八戒も、眠りにつくことにした。




そして、朝が来る―――――――――





「玄奘三蔵法師様・・・。」
三蔵の元に、“三バカ不細工トリオ”の一人、完徹がやって来た。

「朝食が済まれましたら、広間にお越し下さい。出立の前に、皆が三蔵様のお話を聞きたいと申しております。」

「・・・彗はどうした。」新聞を読みながら、三蔵が聞いた。

「は・・彗ですか。あやつは、使い物にはなりません。なにやらケガをしたとかで・・ま、最初からあのような未熟者に、
三蔵様のお世話をさせたことが、悪かったのです。」

ニヤニヤ笑う完徹の顔に、三蔵はウンザリした。

「・・・チッ。俺の世話係を呼べ。お前は退がっていい。」しっしと追い払う素振りを見せた。

この男より、桃花の方がマシだと踏んだのである。

「は?・・しかしっ・・。」

「いいからっ・・・呼べっつってんだよ。」新聞から顔を上げて、睨み付けた。

「はいっ!・・ただいまっ・・。」慌てふためていて、出ていく姿を見て

「ロクなもんじゃねぇな、この寺は・・・。」三蔵が呟いた。



「三蔵。」
完徹に呼ばれて三蔵の部屋へ行くと、支度を整えた三蔵が居た。

「・・・行くぞ。」先に立ち、広間へと歩く三蔵。

桃花も大人しく後を歩く。


「お前、何するつもりだ。」前を見据えたまま、静かに三蔵が聞いた。

「・・・現状を破壊するには、それなりに覚悟がいると思って。覚悟を・・・決めさせたいんだよ、俺は。」

既に他の僧達が待ちかまえている為、男言葉で桃花がいった。その真剣な顔は、男言葉の方が似合うぐらい、凛、としている。


「・・・好きにしろ。」

三蔵の言葉に、桃花が嬉しそうに笑う。「ああ、サンキューな、三蔵。」

「フン。」


悟浄、悟空、八戒の姿が見える。


二人は広間に足を踏み入れた。




「玄奘三蔵法師様。ゆっくりとお過ごしされましたか?」鷹揚に僧正が聞いた。

「・・世話になった。」本当にそう思ってんのか?そう言いたいぐらい、無表情な三蔵。

「では、三蔵様の旅の無事を祈って―・・「お待ち下さい。」


桃花が前に進み出た。

僧正の顔が驚きに包まれる。
「其の方は・・。」

「はい、大桷と申します。」桃花が正座する。「お願いがございます。」スッと頭を下げた。

「三蔵法師様のお供の頼み・・・宜しい。なんなりと。」

「・・・僧侶の完徹・陳捻・頓丙・・この三名を金剛寺より追放して頂きたい。」





顔を上げ、ニィッと笑いながら言った。


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