勝手に最遊記

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Comouflage ―13―



「何を申すっ!!」
「こわっぱめがっ!」
「貴様、三蔵法師様の供と言えど、容赦せぬぞっ!!」三人がいきり立ちながら、桃花に詰め寄る。

「僧正様。いかがですか?」三人には目もくれず、僧正に問いかける。

「いや・・何故、そのような事を申されるのか・・。」妙に慌てている僧正の顔・・・やっぱ不細工だ。

「其の者らが、品行方正が下劣で、犬畜生にも勝るとも劣らないほどの 馬鹿っ!! で、ございますからっv」
馬鹿に力を込めつつ、語尾の最後にハートが付きそうなほど軽快に答える。

「きっ・・・きき貴様ぁ・・・っ!」
怒りの余り、少々ろれつが回らない三バカ不細工トリオ。

その姿を冷たく見つつ、「で、どうなんですか?僧正様。」重ねて聞く。

「む・・。確かに素行は良くないかもしれんが、その三人は金剛寺の中でも1・2を争うほどの強者。私としては、寺を追放する訳にはいかないのだ。」


その言葉に、安堵した三人が
「そうとも!我らが三人がこの金剛寺に居なければ、妖怪共と渡り合えなくなってしまうのだっ!!」
「よそ者に口を出される筋合いではないっ!」
「僧正様、ご安心下さい!!」

口々に言い、僧正と笑い合う。

『やっぱ、ツルんでるんだ、不細工同士で・・・。』フッと息を吐き、「・・・では。その者らより、強い猛者が居れば・・問題ない訳ですね?」

桃花の言葉に、皆、固まる。

「・・な、なんだと?」「貴様が言うのは、もしや・・。」「そ・・草庵殿の事か・・?」一気に青ざめる三人組。

桃花は首を振り、「いいえ。草庵ではありません。」そう言って立ち上がり、「・・・この者でございます。」
彗を指して、言った。

「わっ・・・私がっ!?」彗が青ざめる。

三人組が――いや、三蔵達以外の僧達が、笑い出した。

「これはっ・・これは面白いことを言う!」
「小坊主の彗がっ?」
「我ら三人よりも強いなどと・・・!!」腹を抱えて笑う三人組。それに構わず、

「草庵に聞いたよ。お前の棒術、草庵仕込みなんだって?」
「た、確かに多少の棒術は使えます。が、とても戦うなんて・・・。」正座したまま、キュッと拳を握る彗。

「・・・三蔵に言われただろ。てめぇの寺は、てめぇで何とかしろって。
例え、三蔵が言ったって、俺らが旅に出ちまったら元通りだぜ?
何とかする気があるなら、此処にいる自分の力で何とかしなきゃ!」

そうだろう?と、彗の顔を覗き込む。

「・・・ですがっ・・貴方ほどの強さは私には・・・!」「お前がそんなんだから、草庵も踏み込めないんだよ。」

彗が顔を上げた。

「・・・草庵はな、お前を大事に思っている。お前が金剛寺に入門した時も自分と比べられたら・・って、出奔したんだ。
そして妖怪が自我を無くした今、お前を守るために帰ってきたんだ。」

「草庵・・兄が・・・?」
信じられない。ずっと避けられていると思っていたのに。

桃花は微笑んで、
「お互い、近すぎて分かんない事もある。
あの馬鹿三人叩きのめしてこの寺ごと、お前も生まれ変われっ!・・・助太刀してやるから。」

「生まれ変わる・・・。」
その言葉に促されるように彗は立ち上がり、壁に掛けてある棍棒を手に取った。

その様子を、
「三蔵~!止めなくてイイのかよっ!?」
「・・るせぇ。アイツがやるっつってんだ。見とけ。」
「イザとなったら、僕が行きます。」
「・・・左に同じ♪」
三蔵達は見守ることに決めた。

「そちらは三人ですから、俺が助太刀しても良いですよね?」
三人組と桃花・彗が対峙する。

「フンッ・・・わざわざ痛い目に合いたいとは・・。また投げ飛ばされるのがオチだぞ?」
小馬鹿にしたように笑う頓丙。

「そうですね。・・・まっ、そのお顔ですから、妖怪だと思って死にモノ狂いで行きますよ♪」

八戒バリの笑顔と嫌味で、挑発する桃花。

「・・・言わせておけばっ・・・。」

三人が、桃花と彗に向かって突っ込んできた。




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