勝手に最遊記

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Comouflage ―17―






―――――――――あれから僧正と、三バカ不細工トリオは寺から追い出された。


「・・・俺が僧正代理となる!文句のあるヤツはかかってこい!!」そう叫んだ草庵に、異議を唱える者など居らず・・。

いつか、彗が僧正になればいい、と草庵が言っていたのを思い出す。

「アイツは優しくて気を使うから・・・俺が居ちゃ、自分を出せないだろ?
だから寺を出た。・・・妖怪が暴走始めたときは、心配で心配で・・。」

それで寺へと舞い戻ってきたのに、彗は心を閉ざしていた。

「嫌われてるって思ってた。・・・アイツがもう少しシッカリすれば、色々話すつもりだったんだけどよ。」


でも、もう大丈夫。
例え母親が違っても、兄弟で仲良くやっていくだろう。




コンコン・・ノックされ、草庵が顔を出した。

「準備できたか?三蔵様達が待ってるぞ・・おおっ?」

「エッ?何?」草庵が自分を見て、止まったのを訝しげに思う桃花。

「はーっ・・やっぱ、女だったんだな。」感慨深げに言う草庵に、「あ、あのねぇ~。」苦笑するしかない桃花。

草庵が眉を寄せた。
「・・・悪かったな。」そっと桃花の顎を掴んで、首を傾ける。

桃花の白い首には、痛々しいほどに指の跡が残っていた。

「気にしないでよ。・・・すぐに消えちゃうから。」そう笑った桃花の顔を見ていた草庵が、

「じゃ、おまじないをしてやろう。」ニィッと笑った。





「ぎゃああぁぁっっっっ!!!」





―――――桃花の悲鳴とも怒声ともつかぬ声が、外にいる三蔵達にまで聞こえた。


「な・・何でしょうかねぇ?三蔵。」余りの大声に、八戒が三蔵に聞いた。
「知るか。」どうせ、くだらない事だとばかりに眉間に皺を寄せる。

「おっ。来た来たー・・桃花・・?」

ドドドドドドドッッッッ・・・真っ赤な顔で、走ってくる桃花。その形相が凄まじく、悟空が息を飲んだ。

「さっさっ・・三蔵!!・・早く行こう!!」三蔵の法衣を引っ張り、必死に訴えかける。
「ああ?・・触わんなよ。お前に言われなくったって・・・。」三蔵がハリセンを出そうとした時、

「桃花・・・さん。」
「・・あっ!」おずおずと、彗が近づいてくる。

「本当に・・・ありがとうございました。」深々とお辞儀する。ソレを制止して、
「いーってば!あたしが好きでヤったんだし?彗が幸せになってくれれば、それで満足なんだよ?」


桃花の言葉に、彗が顔を染める。
そこへ、
「・・・俺の幸せも考えてくれよ。」草庵が顔を出した。

「そっ・・草庵っ!!」ズザザザッと桃花が距離を開ける。

「くっくっくっ・・えらく警戒されたなぁ。」可笑しそうに言う草庵に、「当たり前でしょっ!?この変態っ!!」大声で怒鳴る桃花。

「ナニナニ~?何かされたワケ?桃花。」悟浄が聞いてくる。
「っ・・・。」返答が出来ない桃花に代わって、
「ま、いーじゃないか。責任取って、嫁に貰ってやるって言ってるんだし?」

「嫌だって言ったでしょ?大体、坊主は結婚できないじゃん!!
例え結婚できたとしても!坊主なんて、性格悪いし、根性悪いし、高慢ちきで、その上ハゲ・・・・・・・【スパアーンッ】


「・・・・てめぇっ。」

「あ?・・・あ、三蔵って坊主・・だっけ?」

「・・・ぶっ殺すっ!!」

スパアーンッ・・・ハリセンの音と、笑い声が響いた。




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