勝手に最遊記

勝手に最遊記

A Rose Prison ―3―


可憐な美少女が立っていた。

黒色のメイド服に、白いフリルのエプロン。
髪はショートボブで、大きな茶色の瞳。
白い顔に、紅い唇が彩られている。


「・・・出来れば、一夜の宿を借りたいのだが。」
先頭に立っていた三蔵が口を開いた。

美少女はにっこり微笑んで、
「はい。ご主人様も、お喜びになると思います。・・・どうぞ。」
三蔵達を、洋館の中へ招き入れた。


洋館の中は、とても重厚な造りだった。

磨き上げられた大理石の床に、アンティークな家具。

通された応接間には、暖炉までしつらえてある。


「スッゲ・・。こんな屋敷、初めてみたぜ。」
悟浄がソファに座りながら言った。

「ホント。ご主人様って、どんな人なんだろ?」
思わず声をひそめながら喋る。
この洋館では、大声を出す事などとても似合わない。

それでも悟空は暖炉の中を覗き込んだりして、
三蔵の怒りを買ってたりするのだが。

「お客様。ご主人様です。」
その声で、一斉に皆がドアの方を見て――――息を飲んだ。

「ようこそ・・薔薇の洋館へ。」そう挨拶したのは“少年”

色素の薄い髪に、少女かと見まごうほどの綺麗な顔立ち。

ほっそりした体に、白い華美なシャツとピッタリした黒いスラックスを

合わせている。

『まるで少女漫画の主人公』
すんごい美少年・・・桃花は思わずため息を付いた。


「僕の名前は、聚楓(シュウフゥ)。初めまして。」
彼の挨拶を受け、皆がそれぞれ自己紹介する。


「・・・そうですか。旅の途中で、霧に迷われるとは・・お気の毒に。
どうぞ、この屋敷でゆっくりなさって下さい。
沁紗(シンシャオ)。お客様方に部屋を用意してくださいね。」

メイドの沁紗が頭を下げて出ていく。

「普段は沁紗と二人だけなので、とても嬉しいです。
・・・・親しくしてくださいね。」

そう言って、熱い視線を――――――三蔵に向けた。


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: