勝手に最遊記

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A Rose Prison ―5ー


八戒が顔を覗き込む。

「んー・・そうなんだけど、こう薔薇づくしじゃ・・。」
この部屋にもバルコニーがあって、庭の薔薇が見える。
「もぅ、お腹一杯ってカンジ。」苦笑した。

「赤い薔薇はキライ?桃花チャン。」
悟浄が顔を出した。

「悟浄、どうかしたんですか?」
早速、悟浄の分もお茶を入れながら八戒が聞いた。

「・・・んにゃ。別に・・なんだけどよ、落ち着かねーから。」
悟浄も椅子を移動させて、近くに座る。

「そうですか・・・・僕ら・・。」八戒が言葉を切る。
そして苦笑する。

「「「??」」」悟浄達には訳が分からない。

「あぁ、スミマセン。・・僕らって、こんなに広い部屋にいるのに
どうして狭いトコに固まっちゃうんですかね?」クスクス笑いながら言った。

「・・・ホントだ。」
こんなに広い部屋なのに皆でテーブルの端に集まって、
肩を寄せ合うようにお茶を飲んでいる。

「・・コレって、意味無いジャン。」
「俺らってさ、貧乏性?」
「・・間違いありませんね。」
四人が吹き出した。


三蔵は独り、新聞を読んでいた。

自分に与えられた個室は、広く、シンプルな造りである。

只、他の仲間とは離れた――――――此処の“主人”のすぐ隣、

庭の真正面の部屋であった。

コン、コンとノックされ、

「・・・三蔵様。お茶をお持ちいたしました。」
メイドの沁紗が紅茶を運んできた。

三蔵はチラリと一瞥し、
「・・・・其処に置いておけ。」と言って、新聞に再び視線を戻した。

沁紗がテーブルに紅茶と菓子を置いたが、一向に部屋から去らない。

「・・・何か用か。」
面倒くさそうに、新聞からは目を逸らさず、三蔵が聞いた。

「三蔵様に、お願いがございます。」
沁紗が、深々と頭を下げた。


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