勝手に最遊記

勝手に最遊記

Promise ―3―


頭には微かに頭痛が残っているが、それに構わず体を起こした。

「この部屋・・・。」
簡素な部屋。粗末なわけではないが、自分が寝ているベッドと小さいベッドが一つ
・・・飾り気も何もない、殺風景な部屋だった。

フルフルと頭を振りながら
『夢だったのかな?』・・・宿の部屋とはちょっと違うけど・・そう思っていると

ガラッと引き戸が開き、
「あっ!お姉ちゃんっ気が付いたんだ~!!」
ミニ悟空が顔を出した。

『・・やっぱ現実?』落胆しつつ、
「うん・・。あの、ゴメンね?あたし頭が痛くなって・・・。」
謝る桃花に、
「いーよー。すっげビックリしたけど?・・金蝉が連れてきたんだ。
腰痛いって文句言ってたけど。」ニカッと悟空が笑う。

その笑顔の眩しさは、『悟空ちゃんと一緒・・。』心が和んだ。

「・・誰が腰、痛いって?」三蔵とそっくりな金蝉が顔を出した。
慌てて悟空が桃花の傍へと走り寄る。

「あ・・すみませんでした。何か迷惑かけちゃって。」頭を下げると、
「いや。そんな事はどうでも良い。」そう言ってベッドに腰掛け、
「・・・先程の話の続きを・・・。」

「金蝉が女を連れ込んでるぅ~っ!!」馬鹿デカイ声が部屋に響き渡った。

『この声っ!?』桃花が引き戸に目をやると、

「いやっほぉ~♪」黒いコートを着た、長身の男が立っている。

「悟浄君っ!!」「ケン兄ちゃんっ!!」
桃花と悟空が同時に叫んだ。

「ごじょ・・?俺は、捲簾ってゆーんだぜ?お嬢さんっv」
ニヤニヤしながら部屋に入ってくる。

ホントだ・・髪は黒いし、目は茶色い・・思わず凝視する。
物の言い方はソックリなんだけど―――――似ている人って居るんだ・・・・・・

「てめぇ・・何しに来た?」金蝉が睨み付ける。
「ん?軍法会議も終わったし、悟空と遊んでやろうと思って、寄ったんだけど?」
金蝉を見て、
「・・・マサカ金蝉童子が、女を連れ込んでいるとはねぇ~。」クッと笑った。

「・・・貴様っ・・」青筋を立てる金蝉。ヘラヘラ笑う捲簾。

『よく見る風景よね・・・。』思わず懐かしく(?)眺める桃花。

「子供の教育上、良くありませんねぇ。」穏やかな声がかけられた。

「天ちゃんっ!」「・・・天蓬。」

桃花は口をあんぐりと開けた―――――――「はっ・・八戒ちゃん・・・。」

ににににに似ている人は居るって言うけど?
あんな個性的な連中に似ている人が、こんなに居てイイわけっ!?
もう頭の中は真っ白。ハテナマークが周りをグルグルと回っている。

「悟空ちゃんが・・・三蔵が・・・悟浄君が・・・八戒ちゃんが・・・」
虚ろに口走る桃花を、天蓬が伺う。

「もしもし?お嬢さん?・・大丈夫ですか?」
「八戒・・・じゃない・・天蓬さん・・?大丈夫です・・とりあえずは。」
ニヘラと笑ってみせる。

「・・・俺は、その女と話の続きをしたいんだがな。」金蝉が割って入った。
桃花を見て、
「お前は下界人だな。」
「・・まぁ、普通の人間です・・・。」

桃花の言葉に、捲簾と天蓬が驚愕した。




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