勝手に最遊記

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Promise ―4―



フーッと金蝉が息を吐く。
『・・・俺の所になぜ、厄介事がっ・・・』頭が痛い。悟空だけでも大変なのに。

「貴女はなぜ、此処に居るのですか?」天蓬が尤(もっと)もな質問をする。

「・・さぁ?」素直に首を傾げる。

『さぁっ・・て。』心の中で、三人が同じ事を思う。

「お姉ちゃん、下界の・・人間なんだっ!?」悟空が飛びついてくる。
それを受け止めながら、
「あははは・・。そうだよ。只の、に・ん・げ・んっ!」頭を撫でてやる。

「俺もね、俺もね、下界にいたんだよっ?花果山で生まれてねっ・・」
場の雰囲気を読まない悟空が、はしゃぎながら話すのを
「のっ馬鹿猿っ!!ちったー雰囲気読めよっ!」
捲廉が引きずり下ろす。

一瞬にして、天蓬達の雰囲気が軽くなったが―――桃花は混乱を増した。

『悟空ちゃん・・・』目の前にいる、幼い子供を見つめる。

花果山で生まれた――――異端の妖(あやかし)――――――

吉凶の源とされる、金の眼――――金精眼を持ち、その多大な妖力を制御する為に
特別製の妖力装置・・・金鈷を額に付けている。

その特徴を全て備えた――――・・・似ている人物など、他に存在する訳がない!

『悟空ちゃんは・・昔、天界に居たって・・言ってた。』
悟空が前に、子供を探して彷徨っていた、女の霊に取り込まれた事件の後・・・・
野宿の時に話してくれたのだ。

『・・俺、記憶がないんだ。』ポツリと言った。

『天界で、なんか大変なコトして・・岩牢に閉じこめられたんだ。』

記憶を無くし、年も取らぬまま――――五百年という悠久の年月を、一人で・・・

桃花は何も言えなかった。想像すら出来ない。でも、『でもな』

『いま、すっげぇ幸せなんだ。』・・・・・そう言って笑った悟空の顔が・・・・


「・・おいっ!!」強く肩を掴まれて、桃花は我に返った。

「あ。・・スミマセン。」思わず俯く。それを不審げに金蝉が見る。

「金蝉さー。もちっと、女には優しくしろっての。」捲簾が咎める。

「・・・とにかく、貴女が此処に来てしまったのは、理由があるはずです。
此処に来る前の状況を、詳しく教えて貰えませんか?」天蓬が理路整然と話す。

「・・そう、ですね。あたしは仲間と旅をしていて・・・。」
桃花が記憶を手繰り寄せる。

そう、いつものように刺客がやって来た・・・あの変な妖怪を除けば。


――――――――――「コレで終わりか?」悟浄が早速、ハイライトを取り出す。

「芸がないよなっ?」未だ、体力の余っている悟空。
「皆、無事で良かったですねぇ。」戦いの後でも、爽やかな八戒。

いつもと変わらない風景が―――ガチャッ―――三蔵が再び、撃鉄を上げた。
一瞬で、皆が戦闘態勢に入った。

ガウンガウンガウンッ・・頭上にそびえ立つ岩に向かって、三蔵が撃ち込む。

途端に・・岩肌が歪み、妖怪の姿が現れた・・「ぐぅっ・・!!」
妖怪は一歩、二歩と進みながら
「我が名は“時空鬼”・・貴様等を時の狭間に・・永遠に・・・」

最後まで言えなかった。三蔵が容赦なく、全弾・・時空鬼にぶち込んだから。

「・・で、なんかソイツが札持ってて・・投げたのよね。でも死にかけだったから
ヒラリ~って落っこちて。ウッカリ踏んじゃったの、あたしが。
そしたら光に包まれて・・・・・・あ。」

            「「「・・・・・・・・・・・・・・なるほど。」」」

悟空以外の三人が、声を合わせた。



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