勝手に最遊記

勝手に最遊記

Promise ―6―


激高する金蝉を飛び越し、悟空が叫んだ。

「えぇ、そうですよ。悟空、仲良くしてあげて下さいねv」
はーいっvと元気良く返事をする悟空。

「・・・勝手に決めんじゃねぇ!天蓬!お前の所に置いとけっ!」
「無理ですよ。僕の部屋に人が泊まれるような場所、有ると思います?」
――――――人類未踏の魔境・・そう噂される程の天蓬の部屋である。
金蝉も無理だと判断した。
「・・・じゃあ、捲簾っ・・・駄目だな。」
「そうでしょ?猛獣の檻に、生肉を放り込むようなモノですよ。」
「天蓬・・お前は俺の副官じゃねーのか?」
捲簾が情けない顔で呻いた。

「・・まっ、とゆー訳で、彼女には此処にいてもらいます。必要な物は、僕が手配
しておきますので。・・大丈夫ですよ、すぐに調べますから。」
仏頂面の金蝉を見て、苦笑しながら
「すみません。彼は、こういう顔が常なんです。」と、桃花に説明した。

「あ、大丈夫です。こんな顔、見慣れてますからっ。」
常日頃、三蔵の不機嫌な顔を見ている桃花にとって、普通の顔である。

平然としている桃花を、興味深そうに天蓬が見ていたが、
「そういえば・・・自己紹介してませんよね?」言いにくそうに切り出した。

「ああっ!・・えっと、桃花って言います。
天蓬さんと、捲簾さんと、金蝉さん・・で良いですよね?」確認しながら聞いた。

「敬語は使わなくて良いですよ。天ちゃんって呼んで下さいv」
「て・・天ちゃん、ですか?」
『・・八戒ちゃんって呼んでるから・・別にイイけどさ・・。』

「んじゃ、俺にも敬語なんか使わなくてイイからな。」
「とゆーことは・・“ケンちゃん”と呼べと?」桃花の言葉に、捲簾が破顔した。

「くっくっ・・イイぜ。新鮮だなぁ、その響きっv」
まるでケーキ屋みたいだなと、一人ウケている。

「・・俺はねっ・・「悟空ちゃんでイイよね?」
桃花が言うと、悟空はウンウンと嬉しそうに頷く。

「それじゃあ・・。」桃花は黙っている金蝉を見て、「“金蝉”とゆーことで。」
その言葉に、
「・・・俺は、呼び捨てにしろとは言っていないが。」
不機嫌さを増しつつ、言った。
「じゃあ、コンちゃん?」
「誰がコンちゃんだっ!!」
「んじゃ、金蝉で良いんじゃない。」
「・・・・・・・・・・っ。」

苛々している金蝉と対照的に、桃花は呑気に構えている。
『そーいえば、三蔵達の年齢を知った時にも、同じ様な事言ってたな~。』

「・・・面白れぇな、あの娘。」「下界人は、興味深いですねぇ。」
ヒソヒソと捲簾と天蓬が囁き合う。

「・・天蓬!さっさとコイツの身の回りの物、用意しろっ。」
桃花相手に、埒があかないと判断した金蝉が、怒りをぶつけるように言った。

「はいはい。・・・まずは服装から、なんとかしてもらわないと・・。
すぐに用意させますから。失礼しますね。」
天蓬が出ていった後、
「なぁなぁ。天ちゃんって、女物の服なんか用意できるのか?」
悟空の質問に、
「・・ソコが天蓬の恐いトコなんだよな・・・。」捲簾がため息混じりに言った。



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