勝手に最遊記

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Darling




んなもん 無くったって困らねぇし  (ヤレちゃうし)

            どーゆーモノかって   答えられるヤツ  居るワケ?





                      『愛  ってヤツを』              




夕食を終え―――――三蔵達は薪の前で、くつろいでいた。

今夜この平原で野宿を終えれば、明日には町へ着く。

パチパチと木の爆(は)ぜる音を聞きつつ、穏やかに過ごしていた。

「・・・・何、見てんだ、バカ女。」
向かいに座っている桃花の視線を感じて、苛立ちの声を上げた。

「・・いやぁ~。三蔵の眼ってキレイだなぁ~って思って。」
バカ呼ばわりされても(慣れた)怒りもせず、素直な感想を述べる桃花。

薪に照らされて、三蔵の紫暗の瞳が映えている―――――――。
まるで紫水晶のように煌めく瞳は、炎の揺らぎを美しく彩らせていた。

「・・・・死ぬか?」剣呑な視線で睨み付ける。
「あのねぇ。褒めてんのよ?何で怒んのよー!?」
容姿のことを、とかく言われるのが嫌いとは知っているが、眼を褒めただけである。

『・・・あんな顔してるクセに、こんな性格しているのも詐欺よねっ。』
―――――――――人は見かけによらない・・・この言葉を日々、体感している桃花である。

「悟空ちゃんの目もキレイだよね。」三蔵の事はおいといて、右横の悟空に話し掛けた。
「――んんっ?俺??」最後のパンを飲み込み、悟空が聞き返した。

「うん。お月様みたいにキレイだよね。」
まん丸目玉の金精眼・・・吉凶の源と言われようが、この目が大好きなのだ。
桃花に褒められて、悟空は嬉しそうに頬を染めた。

「八戒ちゃんの眼もキレイだし・・まさに翡翠ってカンジ。」
片方の眼が、義眼と言う事は知っている・・が、そんな事など関係ない。
八戒の眼がキレイだと、素直にそう思えるから。

「僕の眼が、ですか?」三蔵の隣に居た八戒が、少し驚いたように、それでも
「・・・嬉しいですね。」微笑んだ。
桃花が、お世辞や気を使って言ってるのでは無く、心から言ってくれたのを判っているから。

「・・・悟浄君はねぇ~。」

                      悟浄の胸が  ドキン と跳ねた。

桃花が、左横に座っていた悟浄の顔を覗き込む。

「悟浄君の眼は・・・・。」

桃花の顔が近づき―――――黒曜石の瞳に、自分の顔が。深紅の髪と眼が、映されている。


                         『・・・・映さないでくれ』

その眼を閉じさせたくて――――――――――悟浄は桃花に口づけた。


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