勝手に最遊記

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Darling ―2―



真っ赤な顔で、桃花が飛び上がった。


「・・ごちそーさんっv」
まるで食後のデザートを食べた後のように、悟浄は爽やかに笑ったが

「ごっ、悟浄く・・【ガウンッガウンッガウンッ】・・桃花の言葉より先に、銃が連射される。

「うっわあぁ!!あぶっ・・危ねぇっ!!いま、掠めたぞっ!」
悟浄の言葉を無視して、三蔵は銃に弾丸を補充している。

「悟浄ぉぉ!!」ガキインッッ――――――――――如意棒と錫杖が火花を散らす。
「・・んだよ、バカ猿!イキナリ・・・。」
「てっめぇ!もっ・・桃花にキスなんてしやがって・・・!」

「・・ちょっ・・ちょっと!?」桃花は慌てた。
『あ、あたしが怒りたいんですけどっ・・。』余りの迫力に、自分の怒りが失せてしまう。

「はっ・・八戒ちゃん!止めてっ!止めっ・・?」
冷静沈着な八戒に、事態を沈静化してもらおうとしたのだが・・

「悟浄・・・・・・・悪ふざけが過ぎましたね?」
すでに気を集中させている。

「・・はっ・・八戒・・。」悟空の如意棒を受け止めつつ、見る見る青ざめる悟浄。

ガチャリ―――三蔵も、弾丸の補充を終えたようだ。


「落ち着いてっ!ねっ!ねっ!?あたし、気にしてないからっ!!」
悟空と悟浄の間に割り込み――――悟浄の前に立ちはだかる。

「~~~~桃花ぁ。」悟浄が桃花の後ろで項垂れる。

「・・んで、庇うんだよっ!?」悟空が噛みつかんばかりの勢いだ。
「大したこと無いジャン?犬にでも噛まれたと思ってよ?ねっ!?」

桃花の言いぐさに、悟浄が違う意味で項垂れる。
『・・・・俺のキスが・・犬??』


「・・・・・・・貴女がそう、言うのなら。」八戒が気を消す。
「――――――――。」三蔵は無言で銃を終った。

「悟空ちゃん?・・ねっ?」上目遣いで、悟空に手を合わせる。
「・・チェッ。」悟空が不満げに如意棒を消した。

はあああぁぁぁ・・・桃花が大きいため息をついた。後ろで悟浄も。そして、

「ホラ!悟浄君、立って!」悟浄の触覚を思いっきり引っ張り上げた。
「痛てっ!?・・おい、桃花っ・・・!?」

悟浄が触覚を引っ張られたまま、ズルズルと桃花に連れて行かれる。
その後ろ姿を三蔵達が見送った。


悟浄は、三蔵達とは少し離れた岩陰に連れて来られた。

「な・・怒ってンの?」悟浄が怖々聞く。――――桃花がキレたら恐い――――
そんな事を忘れていた自分の迂闊さを、今さらながら悔やむ。

「・・・別に?気にしてない。アソコにあのまま居たら、悟浄君の命が危ないでしょ?」

“気にしてない”・・・ソレはソレで、男としては複雑なのだが。
「・・・そっ?さんきゅ~。」悟浄はハイライトを取り出した。・・・が。

「まっ。お詫びは“キチン”としてもらいますからっ♪」
           桃花の言葉に、ジッポを取り落としてしまう悟浄であった。


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