勝手に最遊記

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ACCIDENT ―2―


なんだかんだと渋る三蔵を説得して、私はジープに乗せてもらえた。
でも、体の大きい悟浄が助手席に移動して、私は悟空と桃花ちゃんの間に。そして・・。

「三蔵?いい加減、不機嫌オーラーを出すの止めてくれない?」
「・・煩せぇ。前にもやったような事、繰り返すんじゃねぇ。」

はぅ・・。三蔵ってキレーなのに・・恐い。漫画やアニメとは一味も二味も違う(?)
桃花ちゃんが間に入ってくれてなかったら、私・・息が出来なかったかも。マジで。

「とにかく、町に着くまでだ。面倒事はごめんだからな。」そう言って、静かに目を瞑る三蔵。
「ゴメンね。・・前にさ、助けた女の子が・・ちょっと化け物みたいな事があって。」

あ!・・ソレって読んだヤツだ。そうだよね。三蔵が警戒するのも分かるよ。
「いえ、気にしてませんから。しょうがないですよー。」エヘヘと笑う。
「お前、良いヤツだな~っ!」
・・・あぁ悟空vそんな可愛い顔して笑わないで~v

「ん~?小猿ちゃんがお気に入りなワケ?」ギクッ。・・悟浄、鋭すぎ。
「悟浄君。からかわないの!・・で、自己紹介未だだったよね?あたしは桃花!」
「あ・・私、潤って言います。」
「俺、悟空!ヨロシクな、潤っ!」・・やっぱり可愛いヨ、悟空v
「で、このイイ男が悟浄って言うんだぜ、潤チャンv」・・自分で言うな悟浄。
「僕は八戒です。よろしく、潤さん。」ミラー越しでも美形だ・・八戒v

「このクソ機嫌悪そうな坊主が三蔵なの。」桃花ちゃんっ!三蔵の眉間に皺が寄ったよ!聞いてるって!

「でもぉ。潤ちゃんって、珍しい格好してるよね?」マジマジと潤を眺める。

カーキー色のベアトップにブラウンの巻きスカート(ロング)最近ハマッてる民族系の洋服だった。
オマケに肩より長めの髪は、金髪の白メッシュ。『・・ヤバイよ。この世界じゃ有り得ないかも。』
只でさえ、三蔵に怪しまれてる。違う世界からやって来ましたv・・なんつったらマジで撃たれかねない。

「・・・異国の方、ですか?」ナーイスッ八戒!「えぇ、まぁ・・。道に迷って、連れも居ないし・・。」

そうだ。どうしよう・・・元の世界に帰れるのかな?まさか天竺まで着いて行くわけにもいかないし。
町に着いたら?・・私、どうしたら良いんだろう?行く宛もないし、帰り方も分からない・・。

急に不安が押し寄せる。

「潤ちゃん?どうしたの?」桃花が顔を覗き込む。
「あ・・私、行く宛とか・・無くて。知り合いも居ないし・・・どうしようかと。」
キュッと手を握り込む。
「だから・・不安で・・・。」――――――――――ヤダ。泣きそう。

握った手を、温かい手が包んでくれた。
「・・大丈夫って言ったでしょ?放り出したりしないから。安心して?」・・桃花ちゃ~ん・・。

桃花はチラッと三蔵を見て、
「三蔵なら大丈夫。皆で言いくるめるから。・・・それに、三蔵って意外と・・だからv」小声で囁いた。
『意外と?・・意外とってなんだろ?』
潤は聞き返したかったが、三蔵を起こしてしまうかも知れないとの危惧で、結局そのまま町に到着した。


「・・・何故、6人分の宿を取らなきゃならねぇんだ?」不機嫌、絶好調!・・の三蔵。
「良いじゃないですか。どうせ三仏神のカード払いなんですからv」爽やか笑顔の八戒。
「可愛い女の子なら、大歓迎っv」ニヤニヤ顔の悟浄。
「人数が多い方が楽しいもんなっ!」呑気な悟空。

「マサカ、最高僧の三蔵法師とも有ろうお方が、右も左も分からない女の子を放り出すはず無いよね?」
「てめぇ・・・その、あからさまな皮肉は止めろっ。」
「エエ~ッ?皮肉に聞こえるぅ~?三蔵様~・・スッパアアアンッ!!『・・ハリセンだっ!』

「皮肉にしか聞こえんだろうがっ!!」
「痛・・・っ!良く判ってるんじゃん!」

桃花と三蔵の言い争いをよそに、潤は三蔵の手にあるハリセンに釘付けだった。
『生ハリセン・・・ドコから出すのか謎のハリセン。ドコにしまうのかな?チェックしなきゃ!』

「スミマセンね?潤さん。もうじき決着が付きますから・・。」
「あ?い、いえ・・・!?」
あぅ!八戒に気を取られているウチに、三蔵の手からハリセンが消えたっ!具現化してるのかっ!?

三蔵がため息を付いた「・・・・勝手にしろ。」

「みんな~っ!イイってさ~っ!」満面の笑みの桃花と、苦虫を噛み潰した顔の三蔵。
『・・う。ホントにイイのかな?』そう思いながらも、
・・・・・・・頼れるのはこの人達しか居ない。促されて、宿へと足を進めた。

部屋は男達が4人部屋。桃花と潤の2人部屋に別れた。

『おおっ。結構、小綺麗な部屋v』秘かに喜ぶ。
造りつけの箪笥に、テーブルセット。出窓には淡い色調のカーテンがかかっている。
風呂は残念ながらユニットバスだが、清潔そうで安心した。

「潤ちゃ~ん。あたし、コッチのベッドでもイイ?」窓に向かって右側のベッドに乗る。
「全然イイですよー。じゃ、私はコッチで。」向かい合わせの左側のベッドに荷物を乗せ、腰を下ろした。

『・・・ん?』なにやら桃花がベッドの上で、寝ころんだままコロコロ転がっている。しかも笑いながら。
「ど、どうしたの?桃花ちゃん。」「エー?久々でさぁv気持ち良いんだモ~ンv」

聞けば2日ほど野宿が続いたらしい。で、喜びのあまり・・・コロコロしてるんだ。未だやってるし。
『・・・桃花ちゃんって、犬みたい(失礼!)』

タイプ的には悟空と似たカンジがする。・・・悟空よりもカナリ・・・強い(性格)けど。
きっと犬耳付けたら似合うぞ。なんて思ってたら、
「桃花ー。潤ー。メシ喰いに行くぞー。」悟空が扉を開けた。

「悟空ちゃーん!部屋を開ける時には、ノック!」
「・・悪りぃ。こう?」コンコン・・って、開けてからノックしてどーすんのよ?
桃花ちゃんも苦笑してるよ・・笑うしかないよねぇ。

「・・御飯の時間なの?悟空ちゃん。」よしっ!ちゃん付けだっv
「潤?あのさぁ、お前って幾つ?」「エッ?・・19歳だけど・・。」何か悪いこと言った?
悟空が眉を寄せ、
「・・チャン付けは止めてくれよ。なんか男なのに・・・。」
「エエーッ!桃花ちゃんだって呼んでるよ?」
「桃花はイイの!・・ああ見えても、7歳も年上なんだかんな。潤は一個しか変わらねーだろ?」
――――――ポンッ。 桃花が悟空の頭に手を置いた。
「・・・・悟空ちゃん・・・。“ああ見えても”ってどう言う事?」
「へっ!?・・あ、いや・・べ、別にさっ・・あははははは!腹減ったなぁ!早く行こうぜ!」

脱兎の如く、部屋から飛び出す悟空。・・・うーん。やっぱり悟空より桃花ちゃんの方が強いわけ?

「あたし達も行こっ!」「あ、はいっ!」いつの間にか桃花ちゃんが手を繋いでくれた。
この年になると、仲の良い女友達とも手なんか繋がないけど・・繋いだ手から温かい気持ちが染み込む。
・・・さっきまで不安がっていたから、  なんだよね。  嬉しいな。

―――――――――――――――――――宿の階下から、賑やかな声が聞こえて来た。


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