勝手に最遊記

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ACCIDENT ―4―



「・・・騒がしかったようですが、どうかしましたか?」怪訝な顔で伺う八戒に、
「大丈夫、大丈夫!悟浄君にお仕置きしただけだからv」笑顔で返す桃花。
―――・・・悟浄は。悟空に引きずられながら、未だ霊界と現世を彷徨っている。

「この宿の食堂、夜が更けたら酒場になるそうですよ。行ってみますか?」その言葉に悟浄が生き返る。
「行くに決まってるジャン!潤も行くだろ?」・・未成年なんですけど。ココでならイイかな?呑めるし(おい)

「うんっ!行くよー。」ねっ?と、桃花ちゃんを見ると、何やら八戒に言い寄ってる(?)
「あたしも・・イイよね?八戒ちゃんv」なんで?なんで八戒に聞くの?
「まぁ、宿の中ですしね。僕も居ますから・・・でも、気を付けて下さいね?」

頭の中でハテナマークを巡らせてると、
「桃花ってさぁ。メチャクチャ酒、弱くってよ。」悟浄が察して話してくれる。
「エッ?私も弱いよ?」
「・・・いや。アイツは半端でなく、弱ぇーの。しかもガードがメチャ薄くなるからさ。」
八戒がウルセーのよ・・と。悟浄が首を振る。
「へぇ~・・。」―――――酔わせてみたくなったりしてv


時間が早いからと・・・麻雀卓を、悟浄が借りてきた。
「潤、ヤレる?」「うんっ!大丈夫だよんv」―――――ドンジャラ(死語)の潤って呼ばれてたんだから。

ジャラジャラと牌を混ぜてると、「・・あ。桃花ちゃんはイイの?」私と八戒と悟空と悟浄の4人。
「あ、イイのイイの。判んないから。4人で人数ピッタリだし。」
手にした本を見せ、椅子に腰掛け新聞を読んでいる三蔵の足下にチョコンと座る。

『・・・ワザワザ三蔵の足下に座らなくても。』仲悪いよね?この二人。

「・・桃花は本を読む時は、必ず三蔵の側で読むんですよ。」―――八戒。読心術かっ?
「新聞読んでいる三蔵サマって静かだからなぁ。」プカーッと紫煙を吐く悟浄。・・ケムイって。
「俺らも無闇に喧嘩しないもんな。・・・発砲確率、高けーから。」お天気じゃ無いんだから。悟空。

眼鏡を掛けた(素敵)三蔵と、黙々と本を読んでいる桃花。・・・いつも喧嘩してる気がしてたな。私。
――――私も。智嗣君と喧嘩なんかしたくなかったよ――――ちょっと悲しくなってみた。

「潤~?お手てが留守だぜ~?」あっ!捨て稗しなきゃ。・・・「えっと・・。」
悟浄が軽くため息を付いた。
「カレシの事でも悩んでるの?」唐突な悟浄の言葉に、赤面した。

「っっ!?な、なな、なんで・・!?」私の顔が可笑しかったらしい。悟浄が吹き出した。
「なんでって・・なぁ?年頃の女の子の悩みと言えば・・デショ?それに・・指輪っv」

あぅ!!悟浄に指摘された左手の薬指―――――初めて智嗣君に選んでもらった大切な・・・指輪が。

「左手の薬指と言う事は・・・結婚、されるんですか?」
「はは・・まぁ。出来たら良いなぁ~・・て言う話で・・「結婚するのっ!?」桃花が飛んで来た。

「このまま・・上手くいけば・・。」我ながら歯切れが悪いなぁ。・・喧嘩中だしぃ。
「そうなんだぁ!絶対、上手くいくよっ。おめでとう、潤ちゃんっ!!」満面の笑みが眩しい。

「でも・・帰れないし。ツマンナイ事で、喧嘩しちゃって・・。」
ポツリポツリと話し出す。彼の仕事が忙しすぎて、なかなか逢えないこと。
ようやく取れた休暇旅行もドタキャンされたこと。――分かってるのに・・責めて喧嘩したこと。

みんな、黙って話を聞いてくれた。

「・・・でも、幸せだよね?」―――――シアワセ・・・?
桃花はニッコリ微笑んで、
「大好きな人が・・居て。自分を好きで居てくれて。生きているんだもん。潤ちゃんは、幸せ者だね。」

「本当にそうですよ。もっと幸せになって下さいね。」
「俺としちゃーいい女が人のモノになるのはイヤだけど?潤が幸せなら・・なっv」
「俺もそう思うよ!潤、笑った顔、スゲー可愛いモン!もっと笑ってなきゃなっ!」

「・・・みんな・・・ありがとう・・。」―――――――――涙が出ちゃう、よ。 
三蔵は何も言わないけど。否定をしないのが彼の肯定だろう。

「あ~っ!もうっ!泣かないのっ。パ~ッと呑んで来ようっ?」桃花が立ち上がる。
「パ~ッと・・倒れるの間違いじゃないですよね?」八戒が笑いながら後に続く。
「んじゃ!皆で行きますかっ。」悟浄がガシガシと潤の頭を撫でる。
「三蔵も行くだろ~っ!?」悟空の誘いに、「・・・面倒くせぇがな。」三蔵も立ち上がった。


宿の階下の食堂は、ライトが落とされ、豊富な酒瓶が並び、
ちょっとしたショットバーみたいな雰囲気になっていた。

「随分、印象が違うよねぇ?」桃花が驚きの声を上げた。
「宿泊客以外の方達も大勢来てますからね。桃花、気を付けて下さいよ?」
早速、八戒に釘を差され苦笑する桃花。


―――――「乾杯~っ!!」酒宴が始まった。潤の幸せの為と、出会えた事を祝うための酒宴が。


・・・・暫くして。
悟空は既に眠りの世界へと引き込まれている。
悟浄は赤い顔をしながらも、煙草を吸いつつ上機嫌で呑んでいる。
三蔵はあまり顔色も変えていない。
八戒は―――――・・・やっぱり変わらない。かなりの量を呑んでいるのだけれど。

桃花は・・・ジッと俯いたまま、動かない。・・・舐める程度にしか呑んでいないのだが。
そして、潤は――――「・・ふにゃふやふふふふっ・・・v」・・・ちょっと壊れてる。

「・・・だぁいたぁい~・・ごくうーって、可愛すぎぃ?ってゆーか、おとこのこぉってカンジじゃなぁーい。」
ヤバイ―――チラッと悟浄と八戒が視線を交わす。『・・絡み酒か?』

「そーれーにぃ?ごじょーてば、オンナぐせ悪いしぃ?」「あースミマセンねぇ。」酔っ払いには逆らわない。
「・・・んで?はっかいもぉ?一人でかかえこまないでよぉ?みんないるっしょー?」
「・・・・?あはははは・・そう、ですねぇ・・?」困り顔の八戒。いかに部屋へ連れていくか思案中である。
「―――っで!さんぞーはぁ~。」ギロリ――――潤を睨み付けるが、酔っ払いには通用しない。
「もおおうっと~!スナオになればいいのにー。ハゲる・・【スッパアアンッ】ハリセンが落とされた。

「酔っ払ってるからって、煩せぇぞっ!!」その衝撃でやっと、
「・・・にゃ?にゃんか・・・言ったぁ?」

ちょっとだけ、自我が戻った潤であった。


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