勝手に最遊記

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Curse



いつものように「お客さん」(←八戒談)に襲われる彼ら。

昼ご飯前と言う事もあり、悟空は半ばやけくそ気味に暴れ回っている。

「腹減ってもう、バテッたってカ?」悟浄がからかいながら、
錫杖を遠慮なく回転させ――――妖怪達が倒れていく。 血飛沫をあげながら。

三蔵も機嫌が悪い。マルボロが切れて、三時間になる。小銃の筈なのに、連射してはアッという間に
弾込めして、妖怪共を消滅させていく。

そして桃花は・・・いつものように八戒の後ろにいる。

『まぁ・・しょうがないか。』――――紅孩児が妖力を吹き込んでくれたバングルは、
“殺意”を持っているモノが桃花に近づくと・・・“力”を発動させるらしい。(←八戒談)

「桃花がリンチを受けた時には発動しなかったでしょう?彼女達には殺す気までは無かったからですよ。」
桃花を殺す気だったとしたら・・僕がタダじゃおきませんでしたけどねv・・・ちょっと恐い笑顔の八戒。

そう、あの町に一旦戻ったのだ。

巨大蚯蚓を全て倒したものの・・・それは結界が消えた証。
平和に暮らしていた村人をそのままにして置くことは出来ず、あの町に引き返し、自警団に村へ行って
村人を移住させてくるように取り計らったのだ。“三蔵法師”の威光を盾に。(三蔵は激・不機嫌だった)

その町で――あの、桃花をリンチした女の子達に会ったのだ。出逢った途端・・ガウンッガウンッガウンッ
・・・・三蔵が発砲して・・・・「俺らに近づくんじゃねぇ!!」と、怒鳴り散らした。

「さっ三蔵っ!!」慌てて桃花が銃を握っている三蔵の腕にしがみつく。桃花とて、三蔵が普通の人間に
本気で銃を向けるとは思わないが・・・・『マジ、ヤリかねない。』と言う危険も無いではない。

尤も――――――桃花が庇うまでもなく、女の子達は一斉に逃げて行ってしまっていた。

「アレぐらい、やっときゃ・・・お前にも絡まんだろうが。」「・・へ?」思わぬ言葉に驚く。

『・・・一応、気にしてたんだ。へー。』三蔵の顔をマジマジと眺めた。「見てんじゃねぇ!バカ女っ!」
スッパーンとハリセンを喰らわせ、
「下らねぇ事で時間をロスしたっ!出発だ!!」怒鳴って出て行く三蔵。

背後では、八戒達が笑いを堪えていた。

「まぁ~ったく!素直じゃねーんだからよ、三蔵サマってば。」
悟浄の言葉に三蔵が銃を向けたのは言うまでもない・・・・・。

そして、再出発し―――――――――いつものように、刺客が襲いかかって来たのだ。

刺客は桃花も狙うが・・・それは拉致の為。
生きて連れていくのが目的だとしたら、バングルを付けていても意味がない。暴走している妖怪なら
話は別だが。『・・・それも、ちょっとね。』暴走した妖怪との鉢合わせは避けたい。

暴走している妖怪・・・・負(マイナス)の波動を受け、自我を無くした妖怪。
高い妖力を持つ者や、妖怪としての自我を確立していない子供の妖怪は、影響を受けにくい。
だが・・・平和に暮らしていた妖怪の殆どは、“普通の妖怪”だったのだ。自我を取り戻せば、
人間と平和に共存して生活していける者達・・・自我を無くしているからと言って、無闇に殺したくない。

刺客の妖怪なら、自分の意志で戦いに臨んでいるから・・(ソレでも嫌だが)良しとしても。
出来ることなら、殺し合うのは避けたい――――他に道がないのだとしても。


『んなコト言ってるから・・・三蔵にシバカレるんだろうけど・・。』そう思いながら戦いを見ていた。
しかし、次の瞬間――――「キューッ!!」

変化を解いていたジープが叫んだ時には――――・・・・桃花の首に、剣が突きつけられていた。

「「桃花っ!!」」悟空と悟浄が同時に叫ぶ・・が。襲いかかってくる刺客が居る為に身動きが取れない。
それは、三蔵や八戒も同じで。

「くくっ・・やったぜ。コレで褒美がたんまり貰えるってモンよ。」妖怪が桃花の耳元で嗤う。
「へ~?アンタ、無事に帰れるって思ってるわけ?」桃花が嘲笑うかのように、妖怪に話し掛けた。
「何?てめぇ、状況が判ってないのか?」更に剣先を桃花の首に突きつける。
―――――つぷり、と、皮膚が裂け・・紅い血が、一滴(ひとしずく)流れ出ていく。

その痛みに顔を顰めることもなく、「大体、低級な妖怪があたしを拉致しようってのが間違いなのよ。」
「なっ・・貴様っ!?」みるみる妖怪の顔が赤くなっていく。
「精々、頑張ったらどう?ほら、お仲間が全員・・ヤラレちゃったわよ?」桃花の言葉通り。
この場に残ったのが、自分だけになっていた―――――――「くっくそ!!」今度は青ざめる。
桃花の挑発に気取られなければ・・・全員ヤラレる前に人質として利用し、優位に事を進められたのに。

なおも桃花の挑発は続く。
「気付いてなかったの?バッカねー!戦う?勝てっこないけど。」「ならっ!貴様も道連れにっ!!」

妖怪が剣を振り上げた途端――――――――紅蓮の火炎に包まれた――――――――


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