勝手に最遊記

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SURPRISE―6



すっかり、ずぶ濡れになってしまった閣下の姿が在った。

「・・・まさか温泉に入る事になるとは、思わなかったぞ。」自分のマントでゴシゴシと顔を擦る閣下。
「閣下ぁ・・・。」紅羽が目をウルウルさせながら、「メーク、崩れてますよ?」「おあっ!!?」ツッコミを入れた。


慌ててマントを引きちぎり、本格的に顔を拭き始めた閣下。 『・・・ぁ。』紅羽の心臓が跳ね上がった。

白塗りメークが全部取れた訳ではないが・・・・閣下の素顔を垣間見た。彫りの深い、端正な顔。彫刻のように凛、としている。
そして背中には・・・・『・・・翼・・・?』

閣下の広い背中に、文様状の痣―――――痣と言っても、色々だが。背中に大きく、翼のように浮き出ている痣。

流石は・・・・『閣下こそ。我が、闇鴉一族の長・・・・。』改めて、紅羽は誇りに思った。


「・・で。この女が桃花、だな。」岩の上に運ばれた桃花。こめかみ部分から血を流している。
妖怪の一撃により、意識を無くしたまま・・・まだ、回復していないのだ。

「かっ閣下!あの、その、この女を拉致・・・しない方が良いと思うんです!」紅羽が必死に、
「だって、この女!スゴイ気が強くって!悟浄なんか大変だったんですよ!?連れて行くの苦労しますっ・・「もう、良い。」

「・・・・は、い?」「もう、良いっと言ったのだ。お前を庇ったのだろう?闇鴉一族は、受けた恩を仇で返すような真似はせん!」
ドーンッと閣下が胸を張った。

「・・・・閣下v」「帰るぞ・・・ちと、疲れたのだ。」額に手をあてて、苦渋の表情を浮かべた。
これ以上、陽のあたる場所に居たら―――――それこそ、灰に帰すかも知れない。

「はい、閣下。」紅羽が閣下の胸に抱かれた。『・・・・バイバイ。次の機会は・・判らないわよ?』クスッと微笑んだ。

・・・黒い、闇が一点に集中する―――――――――――・・・・フワッ・・・音も無く。姿を消した、閣下と紅羽。






その後―――――――――「・・っっ・・・へっ・・・変態どもがああぁっっ!!!」






・・・・露天風呂に響いた、桃花の罵声。





悟浄、だけでなく。 悟空も。  八戒も。  (あろうことか)三蔵も。





助けに来たのに。





変態呼ばわりされて、(殴られて)





この温泉宿に“三日間”も滞在させられるハメになった。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(哀れな)三蔵一行であった。


SURPRISE 完



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