勝手に最遊記

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キリ作―SCHOOL!



「天空~?もう起きないと朝食、食いっぱぐれるよ~。」ルームメイトの夏紀が、寝ぼけ顔のアタシを覗き込む。
「・・・うん。」そう言って起き上がったものの。「・・眠ぃ。」頭がフラフラする。

「やっだ!またイラスト描いてて、夜更かししたんでしょ?今日の時間割、地獄の三蔵先生の授業、入ってるからね!」
・・・・・ナヌ?
「ぇえっ!?そーだったっけっ!?」慌ててベッドを飛び出した―――――――・・・


ココは、「桃源郷学園」の学生寮。アタシは“鳳 天空”・・花の17歳vこの春からの、編入生なのだ。

「桃源郷学園」は、幼稚舎・小等部・中等部・高等部・大学・大学院・・・と。エスカレーター式の私立学園。
もちろん、あたしみたいに途中編入する生徒も・・居ない訳じゃ無いんだろうけど。
最初は結構、珍しがられた。

だって編入試験、学園長の面接だけってナニ?

「鳳・・天空か。で?お前、なんでウチの学園に入りたいんだ?」・・もの凄く。美形なオバさんに聞かれて、
「はぁ。ウチの親が仕事で外国行くって。でも、日本から出たくないし。ココ、家から一番、近かったんで・・。」適当にv
・・・って、正直に言ったら、

「あっはっはっはっはっ・・・面白ぇ!合格だっ!!」・・合格、ですか?いいんですか?
横で教頭の・・次郎神教頭が、頭抱えてたっけなぁ。そりゃそーだよねぇ。

この「桃源郷学園」って、超・有名校。型破りな(破り過ぎな)名物学園長が仕切ってるだけあって、
とにかく・・・・有名なの。ココの出身者って、世界的にも著名な芸術家とか、政治家とか。

バックに「天界財団」が付いているからなのかな。良く分かんないけど。
あ、ちなみに学園長が「観世音」で、教頭が「次郎神」・・で、滅多に見ないけど、理事長が「光明」って言う人らしい。
難しい名前バッカで、何気にイヤv

先生達も・・・・そりゃあああ、もうっ!!個性的な人、バッカで・・・あ、それは、また後でv

朝食を終え(バイキング形式)、夏紀と学園に向かう。・・と言っても、学生寮から徒歩・3分。何だけど。
バカでかい校舎だから・・・門から教室まで、歩いて15分かかるのがっ!有り得ない。最初、勝手が分からなくって遅刻したんだよね。

「・・・ぁっ!」隣を歩いていた夏紀が小声で、「天空!・・・先輩だよっ!」教えてくれたv

少し前を歩いている、やや小柄な背中は・・・「悟空先輩!お早うございまーす!」「・・ほあっ!」・・なんすか?その間抜けな声は?
「ほおおり・・っ・・ん、おはよっ!」モグモグごっくん、と。なにやら呑み込んでニッと笑う悟空先輩。

―――――編入初日・・・学園内で迷って、遅刻寸前で半べそかいてたアタシを「おいっ。どうかしたのか?大丈夫か?」
って助けてくれたのが、悟空先輩v桃源郷学園の3年生。可愛いし(失礼!)何気に男気があるし、人気が高い!!
・・ま、教室に連れていってもらったら、1年生の教室だった・・・と言うことはご愛敬で。(結局、遅刻した)


「悟空先輩・・朝食、食いっぱぐれたんですか?」悟空先輩に限って、有り得ないけど。
「違ぇよ。喰ったんだけど・・・来るまでに腹、減ったから。」・・・別の意味で、有り得ない。この人v

悟空先輩の胃袋に感動(?)しながら歩いていると、「おはよう!夏紀ちゃん、天空ちゃん!」
「「桃花先生!お早うございまーす!」」わーいっ。桃花先生だ~v

現代国語担当の、桃花先生。長い黒髪のストレートに大きな瞳。ハキハキしてるカンジ。
今日はアンサンブルに、Aラインの黒の膝丈スカートだ。シンプルでイイね~v
明るくって、元気良くて。男女問わず(と言うより、女子生徒に)人気がある。けしてブスじゃないのに、彼氏が居ないらしい・・。

「ん?悟空ちゃん、ホラ・・・。」悟空先輩のほっぺに、米粒が付いていたらしい。あは。悟空先輩、慌ててる。
「いーって!桃花、止めろってばっ・・!」「桃花・先生、でしょう?学校では。」

そーなんだよ!悟空先輩と、桃花先生は・・・一緒に住んでるんだよ。って、スキャンダルって訳じゃなく。
学園長の血縁とか、親戚とかの先生が居るんだけど(5人)、学園近くの屋敷で暮らしてるんだって。

いいなぁ。アタシも、悟空先輩や桃花先生と住んでみたい・・・・v

「猿の胃袋ってブラックホールだからなぁ。」・・・この軽口はっ・・!っつか、女生徒の嬌声と共に現れたのは、


「お・は・よv 可愛い女生徒諸君vv」ごっ・・悟浄、先生・・・。ああ、悟空先輩と睨み合ってる!朝っぱらから!!
「悟浄センセ?生徒に喧嘩を仕掛けないでくれる?」「いやーん。桃花チャンってば恐~いv」

・・・ああ、足を踏みつけられたよ。にしても悟浄先生、その格好じゃ・・。ダブルの濃紺・ストライプのスーツに(イタリア製と見た!)
渋い紅めのネクタイ・・。髪も真っ赤だしなぁ。
ザ・ホストってカンジ! コレで歴史の先生だよ?信じられる??・・・・まぁ、生徒には手は出さないって公言してるらしいケド。

・・・こんなのが住んでるんじゃ・・・やっぱイヤかも・・・・「皆さん、お早うございます。」

「八戒先生!お早うございます!!」ああんv朝から爽やかな笑顔・・・。
八戒先生はシルバーグレイの三ボタンのスーツ。瞳の色と良く似た、グリーンのネクタイ。銀縁の細めの眼鏡がまたイイッ!上品でっ!
「悟浄?今日は燃えないゴミの日ですよ?生ゴミを混ぜないで下さい。」「へ~?そうだっけか?」
数学の八戒先生・・・八戒先生も住んでるんだよねぇ。・・うう。住みたい・・・。

――――――ん?なにやら背後が静かに・・・・「げっ玄奘先生・・・お早うございます・・。」
夏紀とアタシが挨拶したのに、無言で(冷たい)視線を送ってくれやがったv

金髪の三蔵先生は、見た目通り(?)英語の先生。黒のスーツが・・ヤー様を彷彿させる迫力でv
でも、ものすごーい美人さんだから、ものすごーく人気がある・・主に他校の人になんだけど。(学園にも熱狂的ファンは居るらしい)

だって、愛想がないわ、ドスは利かせるわ、しまいにはハリセンで体罰を与えるわ・・・。
殺気ばしった三蔵先生の授業は、誰も無駄口を叩かない。(殺されそうで)

それに、他の先生達は、名前で呼んでおっけーなのに、「・・俺の名前を軽々しく呼ぶんじゃねぇ・・。」って凄むので、
生徒は誰もが、玄奘先生って言う。陰では三蔵先生って言ってるケド。

「三蔵~。挨拶してるんだから、ちゃんと返しなよ!ニッコリとv」「煩ぇ・・バカ女っ・・。」
低血圧気味(?)の三蔵先生に、命知らずな桃花先生。・・・一緒に住んでるんだよ・・ね。


やっぱり、住めないかも・・・・・です。




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