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勝手に最遊記
BUD―2
「・・・・・さ~ってと・・。」いつもの場所に落ち着き、愛用の双眼鏡を取り出した菩薩に、
「まっ舞姫がああぁっ!!」
(哀れな)次郎神の叫び声が聞こえて来た。「舞姫がっ・・舞姫がっ・・。」余りの五月蠅さに、菩薩が嫌な顔をしつつ振り返った。
「ったく、煩せぇな次郎神。舞姫なら、アイツらんトコに預けて来たぜ?」その言葉に、
「ななななな何ですとっ!?まさかっ、あのっ、破壊無節操な奴らの所へっ・・!?」「ああ、いつもの奴らんトコだ。」
――――――アッサリと。答えられた菩薩の足下に、次郎神がヘナヘナと崩れ落ちた。
「私が・・・・私が何の為に、舞姫を慈しんで育てていたか・・・。」頭を抱え、ワナワナと呻く次郎神へ、
「お前が育てたから、あーんな堅物になっちまったんだろうが。アイツらんトコに居りゃあ、少しは面白みが出るってもんだ。」
「・・明日までが一番、大切な時期なのですぞ・・・?」「だから、こそ。だろうが。」ふふんと、笑う菩薩を恨みがましい目つきで睨みつつ、
「はああぁぁ・・・私の・・舞姫が・・私の・・・。」後ずさりしながら、去っていった。
「今日から明日まで・・・どんな“華”になるんだろうなぁ?舞姫。」誰に問いかけるでも無い、菩薩の呟きが。
目の前にある池の水面に・・・・・消えた。
「さて、と。舞姫さん・・?」硬直して動かない舞姫に、八戒が(極力)穏やかに話し掛けた。
「はっ、はいっ!八戒様っ!!」ピョンッと、飛び上がらんばかりに返事をした舞姫に、
「様は要りませんよ、様は・・・・。」あはは、と苦笑しつつ宥めた。その八戒の笑顔に絆(ほだ)されたのか、
「では、私も・・姫は要りません。舞、だけで結構です。次郎神様が姫、姫、と呼んでおられただけです。」
そんな身分じゃありませんと苦笑した。
「次郎神?んなヤツ居たっけ?」悟空が不思議そうな顔をする。「ホラ、いつも菩薩の後ろで申し訳なさそうな顔してる方が・・。」
「ああ、あの
影の薄いオッサン!!
」―――――――舞姫が、何気に汗を拭った。
「んで?舞って何歳よ?」悟浄がハイライトを銜えつつ、話し掛けた。「さぁ?下界ではどうか分かりませんが・・・。」小首を傾げ、
「産まれたのは一昨日なので、何歳とは分かりません。」「・・へ?」ポロッとハイライトを落とす。
「舞ちゃんって、一昨日・・・産まれたばっかりなの!?」コチラも驚いて椅子から立ち上がった桃花。
「じゃあ、お前・・・赤ん坊なのかっ!?」
【スッパアアアンッ】
悟空の発言にハリセンが飛んだ。
「痛ってええっ!!三蔵っ・・何スンだよぉっ!!?」頭を抱えて蹲った悟空に一瞥もくれず、ずいっと舞姫の前に進み出た。
「化身ってのは、赤子で産まれるもんじゃねぇ。ある程度、成長した姿で産まれてくるモンだ。」
―――――――――それは、異端の妖(あやかし)と称される悟空と、似たようなものであろう。
「・・・放り出さないだけ、有り難いと思え。」冷ややかな視線と共に、投げつけられた言葉。
金縛りにあったように、舞姫が凍り付いた・・・・・
「三蔵ぉっ!!」
「アンタねぇっ!女の子に対して、そんな言い方は無いじゃないっ!?」「てめぇに言われる筋合いじゃねぇよ。」
バチバシと火花を散らす二人に、「す、すみません・・私の所為で・・・。」小さな体をますます縮こませる舞姫。
「気にスンなって。一種のコミュニケーションってヤツ?」悟浄が頭をガシガシと撫でまくる。
無論、ナニがコミュニケーションだっ!・・と。二人からツッコミを喰らいながらではあるが。
「まぁまぁ・・・・何はともあれ、観世音の命を無視するって事も出来ませんし。どうせ、もう一泊する予定だったんです。
彼女を預かっても
何の問題も有りません
よね?三蔵。」にっこりと。非常に人当たりの良い笑顔を浮かべる八戒に、
「・・・・・・チッ。」 三蔵とて、逆らう術はない。
「じゃあさ、舞ちゃん買い物に行って来よ?三蔵、カード!」ウキウキと出掛ける支度を始めた桃花。
「・・・・何故、カードが要るんだっ。てめぇの酔狂に使わせる金は無ぇよ。」ギッと睨み付けたが、
「だって舞ちゃんの保護者は菩薩でしょ?ゴールドカードの所有者・三仏神の親玉は菩薩でしょ?
んじゃ舞ちゃんの物をゴールドカードで買ったって、誰からも文句は言われないよね?三蔵サマv」
明らかに・・・三蔵に対して、嫌味(たらたら)な笑顔を向ける桃花。その背後では舞姫が冷や汗を(たらたら)流しているのだが。
「・・てめっ・・・!」青筋を立てて、懐に手を入れた三蔵を制するように、
「んじゃー俺も付き合うわvお姫様二人じゃ心許ないっしょ。」サッと二人の肩を抱いて、悟浄が扉へと向かう。
「ゆっくりしてろや、三蔵サマv」ニッと口角を上げ、バタンッと扉を閉めた。
「・・・あのクソ河童っ・・・!」取り出したハリセンでテーブルを
スパアアンッ
と殴りつけた。
「おっ、俺も一緒に・・・!」身の危険を感じたのか、悟空が慌てて出て行こうと扉へと向かったが、
「悟空。
一緒に
、お茶を飲みますよね?」 その八戒の言葉に。
――――――――独りで逃げたら・・・・判ってますよねぇ、悟空?
そう、(黒い)笑顔の裏を読みとり、まるで壊れたオモチャのように・・・首を振り続ける(もちろん縦に)悟空であった。
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