勝手に最遊記

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BUD―3



「わvコレ可愛い~!!舞ちゃんっ!どう??いや、アレの方が・・・。」まるで着せ替え人形の如く、洋服を合わせられる舞。
「あ、あの、私は今の着物で十分・・・「きゃあっvやっぱりピンクが似合うっ!!」

もはや、舞の言葉など耳に入らない桃花。頼みの綱の悟浄と言えば・・・「オネーサンv今、一人?」
・・・・・桃花と舞をそっちのけでナンパに励んでいる。


軽く目眩を覚えつつ、店から離れた舞。(店内では桃花が血眼になって物色している)
『菩薩様・・・何故、私を下界に・・・・。』何気に目頭が熱くなるのを覚えた。

産まれてこのかた、天界で次郎神に真綿で包まれるような生活しか知らないのだ。こんな大勢が行き交うような人通りも、喧噪も、
遠慮のない乱暴な言葉も、振る舞いも、・・・・・何も、何も、知らなかったのだ。

『・・・・・知らないままの方が・・・・私は・・・。』そう、思い。紫の瞳を空へと泳がせた・・【ドン】


「おいおい。ぶつかって挨拶も無しかよ?最近のガキはぁ!?」ハッと舞姫が振り向けば、柄の悪い(人相の悪い)男達が立っている。

「す、すみません・・・。」そっと離れようとした舞姫の腕を掴み、「スミマセンで済みゃあ、何とか要らねぇって!」
「金は持って無ぇのかよ?ああ?」「てめぇの親はドコだ!?責任、取って貰わねーとな!」口々に。脅しの言葉を投げつける男達。

オロオロと周りを見回しても、関わり合いになりたくないのか・・・・誰も、舞姫を見ようともせず。
悟浄や、桃花の姿もない。 ・・・声を出せば、助けを呼べば・・・そう思っても。固まった体は動こうとはしない。

「おいっ!聞いてんのかよっ!?」グッと胸ぐらを掴まれ、小柄な体を持ち上げられた。
「このまま、娼婦宿にでも売り飛ばすか。」「ガキが好きって男もいるし?」「何年か経ちゃ、使えるようになんだろ。」
――――――サアアッッ・・と血の気が引く。「わ・・私は・・・離し・・ 【ボゴォッ】

もの凄く、嫌な音がした。

舞姫を持ち上げていた男が、白目を剥いて・・・・「・・っ・・くっ・・。」ゆっくりと、膝から地面へと倒れた。

同時に、舞姫も男の腕から解放され、そのまま座り込んだ。  「舞ちゃん。大丈夫?」
「・・・桃花さん。」目の前に、ニコニコと手を振る桃花の姿があった。

「てってめえ!!」「おい!!大丈夫かっ!?」悶絶している男を、仲間の男達が助け起こした。
「このアマっ・・よくもっ・・!!」震えながら立ち上がったが、いかんせん、股間を押さえながらでは迫力に欠ける。

男の無様な姿を、冷たい視線で睨み付け「はん。急所を蹴り上げられたからって、死ぬ訳じゃあるまいし。」そう吐き捨て、
「その汚い股間、蹴ったあたしの足の方がカワイソウだっつーの!!」 んべえぇっ と舌を出して見せた。

「勘弁ならねぇっ!!」頭から湯気を出すのではないかと思うほど、激高した男が桃花に掴みかかろうとした・・「ハイ、それまでよんv」

陽気な言葉と共に、「痛だだだだだっ!!」男の腕を、捻り上げた。「悟浄君っv」
「んっとに桃花って、トラブルメーカーだよなぁ?」男の腕を片手で捻りつつ、器用にハイライトを銜えた。
「いや、望んでる訳じゃないんだけども。」苦笑しながら「あ、危ないよ?」呑気に悟浄へ注意を促す。

男達が、背後から悟浄へと襲いかかる―――――――「・・・余裕っショ。」捻っていた男の腕を回し、「うああっ!!」男達へとぶつける。
体制を立て直す隙も与えず、一気に男達の間をすり抜け――――・・一人一人、殴り倒していく。

「くっ、くそっ!!」鼻血を拭きながら、ダメージの少なかった男が一人、立ち上がり舞姫に向かって突っ込んで・・・ 【ゲシィ】 ・・・倒れた。
「・・・ったく、か弱い婦女子に乱暴すんなってーの!ねぇ?舞ちゃんv」桃花のブーツの足底を顔に形どらせて倒れた、
哀れな男の姿を見ながら・・・・「・・・・そ、そうです・・ね・・・。」引きつりながら頷く事しか出来ない、舞姫であった。


パンパンッと手足の埃を払い落とし、「んじゃ、買い物の続きでもすっか?」何事も無かったかのように悟浄が笑い、
「だねぇ。の、前にさ。甘い物食べに行こうよ~v悟浄君のオゴリでvv」コチラも平然と笑う桃花。

―――――――自分達の周りには、殴り倒された男達がゴロゴロ倒れている、その場所で。
普段通りに会話を交わしている二人に、もはや舞姫の思考は付いていけなくなっていた。


「じゃ、舞ちゃん行こうっ♪」脳天気な桃花に手を取られ、悟浄に促され、フラフラ歩き出した。

『じっ・・次郎神様・・・・・私は・・・・私はっ・・・・』晴天、とも言うべき空を垣間見て、僅かに唇を噛みしめた。


しかし・・―――――――――舞姫にとって、最悪の一日が・・・・・・・・・・・・・・・終わった訳では、無かった。


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