勝手に最遊記

勝手に最遊記

海賊気分でア○ア○サー!―3




未だに不信感を拭えない表情で、桃花は周囲を見回した。


この船に乗っているのは善良なる(?)“海賊"で、伸びたりするのは“悪魔の実の能力者"であって妖怪ではない・・

些か(と言うよりカナリ)疑問は残るが、この連中を見ている限り、悪い人間には思えないのだ。

『“山賊"なら見た事あるんだけど・・・』それはもう、しょっちゅう。

旅人の金品を狙って出没する山賊なら、山ほど。・・・まぁ、三蔵らを狙ったのが運の尽きだろうけど。




「そっ。三百年に一度の未知の宝っていうから・・・スッゴク期待してたんだけどね。」肩を落として見せたナミ。
「ご、ごめん。・・・えと、で、助けてくれたんだよね?アリガトウ。・・で、ココは一体ドコなの?何だか・・・」

桃花は椅子から立ち上がり、体ごとグルリと見回して、
「・・・・めっちゃくちゃデッカイ川?・・・ってか、湖?」真顔で呟いた。


「「「「「「はあぁっ?!」」」」」」 ロビン以外が驚きの声を上げた。


「なに言ってんだよ?ココは“グランドライン"だぞ?」ウソップが腕を組み、「やっぱり頭打ってんじゃ・・・」
「大丈夫だってば!・・ココは“ぐらんどらいん"って場所なの?ね、桃源郷って知ってる?」
「トーゲンキョー?サンジ、知ってるか?」
「いや、オレは・・それよりグランドラインを知らないって言う方が・・・」
「おい、チョッパー。コイツ、記憶喪失ってんじゃねぇのか?」
「違うよゾロ。記憶喪失だったら自分の住んでる場所を覚えてるハズない。それに、この人グランドラインの名前と言うより・・」
「アナタ、“海"を知らないの?」

ナミの発言に、皆が目を見張った。



「ウミ・・・?・・ぁあっ!八戒ちゃんに聞いた事ある!見たこと無いけどね!!」

ポンッと手を打ち、へぇ~コレがねぇ~♪等と一人喜ぶ桃花。その様子を見ながら、


「おかしなヤツだなぁ~。海を知らないのになんでグランドラインに居るんだ?なぁナミ。」
「アタシが知るわけないでしょ!」ガツンとルフィの頭を殴り、
「ロビン・・・どう言う事なの?」最後の頼みの綱とばかりに、全員の視線がロビンに集まった。

「その事なんだけど・・宝って言う意味は、少し違ったものだったわ。未知の“物"だった。それが示すのは、物か者か・・」
パタン、と本を閉じ、
「未知の世界からの者――――・・おそらくは、あの場所が門(ゲート)だったのね。三百年に一度、門が開きモノが現れる・・・」そこまで言い終え、桃花の眼を真っ直ぐに見据えた。

「今回はアナタだったのね。・・そして、その白い竜。恐らくは異世界の・・・」

「異世界の・・・者・・・。」ナミが驚愕の眼差しで見つめた。それはルフィ達も同様で。
マサカ、いくら“何でもアリ"のグランドラインだからとは言え、自分達とは住む世界が違う人間が――――

「スッゲーなぁ!お前っ!!妖怪ってなんだ?お前の世界にはウジャウジャそんなの居んのかっ?」興味津々でルフィが身を乗り出した。
「へっ?あ、居るけど・・お前って・・あの、名前もあるんだけど?桃花って言う名前が!大体、キミ幾つ?」

「オレはモンキー・D・ルフィ!海賊王になる男だ!年は17!!」 どーん とルフィが自己紹介。
「かいぞくおう?ふーん。悟空ちゃんより二個下なんだ。」フンフンと頷いていると、
「モモカさーんっ!なーんて素敵なお名前なんだぁ!オレはサンジ!貴女の為に最高のお茶を淹れますねぇ~!」
「・・・あ、ありがと・・・。そんなに回ったら目ぇ回すよ?」思わず苦笑いした。

「そしてオレがウソップ!無敵の狙撃手だ!オレの数々の冒険を今から聞かせて・・【ゴキンッ】
――――――――――話がややこしくなるとナミの鉄拳が飛んだ。

「アタシはナミ。この船の航海士よ。ルフィが船長でサンジ君がコック。ウソップは今言った通り、狙撃手ね。
その柱の影に隠れているのが船医のトニー・トニー・チョッパーで、
ごっついのがロロノア・ゾロ。そして考古学者のニコ・ロビン。以上のメンバーが麦藁海賊団よ。」

ナミのメンバー紹介に、それぞれが応えて見せた。

「えーと。トニー君?さっきはゴメンね?助けてくれてアリガトウ。」
「何だこのヤロウ~!礼なんか要らないぞこのヤロウ~!」クネクネと嬉しそうにチョッパーが喚いた。

「アナタの話をもっと聞きたいわ。翻訳が難航しているけど、アナタの世界の話を聞けば、参考になると思うの。」
「もちろん!ニコ・ロビンさん。・・ロビンさん、って呼んでも?」
聡明で落ち着きのあるロビンを前にして、流石の桃花も緊張気味だ。

「ロビン、だけでも良いのよ?」
「でも・・・ロビンさん、あたしより・・・」年上でしょう?言いにくそうな桃花に、
「25歳よ。この船では一番年長ね。」サラリと言った。
「25歳?なーんだっ。あたしと同い年だ~。じゃ、ロビンで良いよね!」良かった~!脳天気な桃花を前に、

「ロビンと同い年ぃ?!・・・見えん。同じ25歳でもえらい違いが・・・」
「ウソップ!レディに対して失礼だぞ!・・・確かにモモカさんの方が年下っぽいが・・」
「人間の年って分からないなぁ。オレももっと勉強しなきゃ。」
「テメーだって15歳には見えねぇぞ。」
「何言ってんのよ。ゾロだって19には見え無いじゃない!」


ワイワイガヤガヤと。

年齢と外見が釣り合わない、いつも言われ慣れている事なのだが・・・『・・あたしだけって・・絶対、思わんっ!!』
――――――特に強面のゾロを睨み付けながら、秘かに握り拳を握ったのだった・・・。











© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: