勝手に最遊記

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Stay ―2―



―――役にも立たないくせに・・・そんな感情が苛立ちを募らせる。

桃花が加わったことで、明らかにバランスが崩れ始めている。

戦闘に加わることの出来ない桃花が居るため、常に気を配らなければならない。

宿だって、女が一人居れば別に部屋を取ってやらなければいけない。

ちょっと皮肉を言えば、三人して桃花の擁護に回る。

『・・チッ   面倒なのを拾っちまった。』  心の中で舌打ちをした。


「三蔵、何を考えて居るんですか?」目敏い八戒が話しかけてきた。

「・・別に。」殊更、不機嫌な顔で言う。

見透かしたように
「気持ちは分からないでもないですが・・。そのうち判りますよ。」したり顔で八戒が言った。

「何がだ!?」鋭い目線で問う三蔵に、
「まーまー・・♪」すこぶる人の良い笑顔で軽く流す八戒。

運転に意識を戻した八戒は、もう何も言うまい。まったく・・・三蔵はまた苛立ちを覚えた。

――――――――――その日の夕方頃、三蔵達は小さな村へ着いた。

「・・・なんだコリャ?」悟浄が驚愕の声を上げた。

三蔵達も唖然とした。その村は高い塀に囲まれており、砦のようである。
高い見張り台があり、そこから三蔵達を見つけた男が何やら叫んでいる。

「・・なんかさ、入らない方がイイんじゃないかな?」桃花が不安を口にする。
「僕もそう思いますけど・・もう、遅いみたいです。」

高く、厚い扉が重厚な音を立てて開く。

中には10人ほどの人間が待ち受けていた。手にはそれぞれ武器を持っている。
顔付きはとても友好的とは思えない。

「お前らは妖怪かっ!?」真ん中に立つ男が言った。
右目に眼帯をしている。

「・・・お前のような無礼な男には応えることはない。」三蔵が冷たく言い放った。

「・・・ならこちらから調べさせてもらう!」
ワァッと人間が押し寄せてきた。

抵抗する間もなく、悟空・悟浄・八戒の身柄が拘束される。

「見ろ!このカフスっ・・・妖力制御装置だっ!」
「コッチの金鈷もだぞ!」
「この赤髪の男・・・妖怪との禁忌だ!!」

「・・・のっ野郎ー!!」
「オレの髪に触んじゃねぇっ!」
「ダメです、二人ともっ!」
八戒が暴れようとする二人を止めた。
「抵抗すれば騒ぎが大きくなります・・・桃花さんにも危険が・・。」

見れば三蔵と桃花が取り囲まれている。

「こいつらは?」
「見たところ、装置らしいモンも付けてないが。」
「分かんねぇぞ!ボーズの格好してるだけで・・。」一人の男が三蔵に手を伸ばした。

ビシッ・・三蔵が思いきり手を払いのける。

「この俺に、触んじゃねぇよ。」

――――――――――――――――何人たりとも逆らえない威圧感で、睨み付けた。


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