勝手に最遊記

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Stay ―3―



               「何事だ?」野太い声が響いた。

扉の前に、ゆうに2メートルはあるであろうと思われる巨漢が立っていた。
年齢は40歳後半頃だろうか、分厚い胸板、顔に大きな傷跡、腰には大きな刀を下げており、
“戦士”と言う言葉が似つかわしい男であった。

「と、頭領・・すみません。コイツらが・・。」眼帯をしている男が申し訳なさそうに言う。

「飛(フェイ)。別に怒っている訳じゃねぇ。」
頭領と呼ばれた男は、その粗野な容貌とは反対に穏やかな声で言った。

そして三蔵達を一眺めした“頭領”は、
「・・・なるほどな。確かにソコの3人のボウヤ達は人間じゃないらしい。
しかし、その坊さんとお嬢ちゃんは人間だぞ。手荒にするな。」

「・・どうして見ただけで分かるんですか?」素直に桃花が聞く。
「色々あってね・・。すまないが事情を聞くまでボウヤ達には牢屋に入ってもらう。決まり何でね。」

「何でだよー!俺達悪いことなんてしてねーぞー!!」悟空が喚く。
「元気なボウヤだな。事情を聞くまでだ、我慢してくれ。」

諭されてシブシブながら連行される悟空達を見送って、
「アンタらとは話をしなきゃな。オレの家に来てくれ。」

三蔵と桃花が男に促され、砦の中へと案内された。

砦の中は小さな村になっていた。
簡素ではあるが家々が並び、子供や女の人の姿も見える。

『・・・?』桃花は違和感を覚えた。

女の人達が食い入るようにコッチを見てる!?その先には・・・。
『三蔵かぁ!』やっと思い当たった。

“三蔵”といういでたちに加え、金糸の髪、紫暗の瞳。端整な顔立ちは、神聖な雰囲気を醸し出している。

タレ目で暴言・暴力生臭ボーズなのに・・。『みんな、ダマされてるぅ~!!』
思わず身悶えする桃花だった。

「村の女達には、お前さんが珍しいらしいな。」
桃花と同様、女達の視線に気付いた“頭領”が笑いを含んだ声で言う。
「迷惑な話だ。」一瞥もくれず、三蔵があしらう。

「・・ま、不躾な視線は許してやってくれ。他の町との交流がねぇからな。
そっちのお嬢ちゃんには気の毒だけどよ。」

「はっ?」身悶えしていた桃花が我に返る。

「恋人なんだろ?」その言葉に三蔵と桃花が目を剥いた。
「違うっ!!」「違います!」 同時に叫んだ三蔵と桃花が、顔をつき合わせる。

お互いこのやろぉ~~!と言う視線をビシバシ戦わせているのを見て、“頭領”が哄笑した。

「面白い奴らだな・・・。ほら、アレがオレの家だ。」案内されるがまま、
門をくぐった桃花が後ろを振り返ると、村の女達の嫉妬と羨望の入り交じった視線が痛かった。

『なんでなのよぉ~!』思いっきり三蔵の背中を睨み付けた・・


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