勝手に最遊記

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Stay ―8―



「よう!三蔵、早いじゃねぇか。」「お早うございます、三蔵。」
「・・・・猿は?」

ココに・・・岩牢でまだグッスリ眠り込んでいる悟空のだらしない姿が目に入った。
「コイツは~~!状況もわきまえずグッスリ眠りやがって・・!」
三蔵の怒りを感じたのか、悟空が起き出した。

「ふぁ~ああ。・・何、もう朝メシ??」
「悠長なことを言うなっ!」
「ウワッ!三蔵!?・・あっ・・そうか・・。」
瞬時に昨日のことを思い出したらしい、悟空が真顔で

「三蔵。桃花は?・・もう、“儀式”とかに行ったのかよ?」
三蔵は座り込んでマルボロに火を付けた。

「・・聞いているのか。」
「三蔵、落ち着いてる場合じゃ・・。」
「悟空!・・・儀式とはどんなモノなのですか?」

三蔵は紫煙を吐き出した。
「詳しいことはオレも良く知らない。ただ、晴掩の話じゃ“心の強さ”がポイントらしいがな。」

「心の強さ・・ですか。」
「何だよー。ちっとも判らねぇよ!」
「猿の脳みそじゃっ判らなくってもしょうがないって!」
「じゃ、悟浄には判るのかよ!?」「・・・ウッ。」

「とにかく、かなり心許ないが・・・アイツが帰ってくるのを待つしかない。」
悟浄と悟空の争いを止めるかのように三蔵が静かに言った。

「・・・桃花に何かあったら、許さない!」
「シャレになんねぇからな・・。」
「三蔵、もしも・・・いえ、何でもありません。」

「今はまだ・・・・。俺達は待つんだ。此処でな。強行突破は、まだ考えなくていい・・判ったな?」


三蔵達が岩牢で話しているのを見ている影があった―――――――――。


―――――――――――村の中の一角で、男が数人が集まっていた。

「・・・オイ、どう思うよ?」
「“証を立てる儀式”をよそ者に・・・しかも女にさせる何てよ、頭領もどうかしてるぜ!」
「だよな・・。それにどーせ出来っこねぇよ。」「ああ・・。今頃逃げ出してるかもな。」

ひそひそと言い合う村の男達。そこへ、

「逃げ出しただけならイイけどよ。」
「あっ、飛さん!」
「さっき奴らの様子を窺っていたんだがな、あいつら強行突破するとか言っていたぞ!」

「ほ、本当かい?飛さん!」「何てこった!」「呪符が効かないのか!?」
たちまち蜂の巣をつついたように騒ぎ出す男達。

「静かにしろい!・・あの女も妖怪の仲間だったかもな。儀式をすると
言って村から出て、援軍を呼びに行ってる・・。」

飛はそう言って男達の顔を見回した。皆、恐怖で引きつっている。
「村への攻撃は砦の中からと、内側からの両方から・・・?
だとしたら飛さん!今のウチに奴らを・・!」

「・・・頭領が居るからな。おそらく三蔵とかっていう坊さんに騙されてるんだろうが・・。
いつでも奴らを殺れるように、準備をしておこうじゃねぇか。いいな?」

「分かった!」「こっそり準備しておくぜ!」「オレ達の村は、オレ達が守る!」

「そうだ・・。オレ達の村はオレ達が守る!もう2度と妖怪なんぞに奪わせない・・。
一匹残らず、この世から抹殺してやる!!」

          ―――――飛の目は、復讐と殺意と怨念で満ちていた――――



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