勝手に最遊記

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Family ―5―


宿に入ると八戒が居た。

「悟空は?」
「アイツはまだアイスやら何かを買っている・・。」

「あはは。しょうがないですね~。
僕も今、戻ってきたばかり何で・・部屋に行きましょうか?」

三蔵の荷物を半分持ち、階段を上る。

「・・医者は何て言ってた?」
「この2,3日中は安静に・・との事です。」

そうか・・と三蔵が息をつく。眉間に皺を寄せる三蔵の顔を見て、

「三蔵?・・まさか桃花を旅から外す・・とは言わないでしょうね?」

「お前はどうなんだ?このまま同行させてもイイと思うか?」

「僕は・・・僕には決める権利は・・ないですけど・・。」
八戒は言い淀んだ。

「とにかく、アイツが回復してからの話だな。」

三蔵がドアを開け・・・・・・・・・・・二人は固まった。


三蔵と八戒の目の前に、ダブルベッドで抱き合う二人の姿が合った。

             バサバサッ・・・八戒が荷物を落とす。

「・・・ん?アレ・・。」眠っていた悟浄がその音で目を覚ます。

上半身を起こし、ドアの前に立ち竦んでいる二人の姿を見て悟浄は即座に自分の状況を悟る。

「ち、ちが・・・ガウンガウンガウンガウンガウンガウン・・・!!
目にも止まらぬ速さで、銃を抜いた三蔵が連射する。

全弾間一髪で避けた悟浄は、顔面蒼白になった。

「あっ危ねぇー!!おまっ、ホンキで殺す気かよ!?」
三蔵は無言で銃に弾を込めている。

「もっ桃花!起きて・・助けてくれっ!!」

騒ぎに気付いた桃花が、緩慢に体を起こす。
「ど・・どうしたの?悟浄くん・・。」

「俺は、ただ単に添い寝してただけなんだよな?なっ!」
うん・・と頷く桃花に悟浄はホッと息をついて、

「だろ?三蔵、八戒!分かってくれたか?」
満面の笑みを浮かべて悟浄は三蔵達を見たが、

「じゃあ、桃花の姿はどうしたんです?」冷たい声で八戒が指摘する。
ヘッ?と悟浄が桃花を見ると・・・シャツ一枚で寝ていた桃花だが、
第一ボタンから下まで・・・外れている。

医者の診察後なので、もちろん下着も付けておらず、胸の谷間が覗いている。

「エエッ!?」慌てて桃花が前を隠す。

「いやっ・・俺はしてねーぞ?・・多分・・。」
「多分・・ですか?」八戒は笑顔のままだが、眼が笑っていない。

「だから!故意にはしてないっつーの!も、もしかして・・。」
「もしかして?」
「無意識には・・したのかも・・。」悟浄もその辺は自信がない。

「そうですか・・分かりました♪」
「分かりました・・って!オイ、気をためてるんじゃねーよ!
この部屋ごと俺を吹っ飛ばす気か!?」

「・・・そうですね。騒げば桃花の負担になりますし。」
八戒の手から、気が消える。
「・・そうだな。」三蔵が銃を懐にしまう。

助かったと、悟浄は気を緩めたがイキナリ首根っこを捕まれる。

「別室に移りましょう♪」八戒がニコニコしながら悟浄を引きずり出す。

た・・・助けてくれぇぇぇ・・悟浄の声が部屋にこだました。



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