勝手に最遊記

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Blind Date ―4―



「あ、あのっ!」「・・・何だ。」

「ココって・・・町のどの辺りなんでしょう?」
「・・・・。」
「連れとはぐれてしまって・・。恥ずかしい話しなんですけど、迷子なんです。」
「・・・・。」
「宿に戻りたいんですけど、この場所がどの辺りかも判んなくて・・。」
「・・・・。」
「あ、あの・・・。」
「・・無理だ。」
「ハッ??」
「・・・俺も迷子だ。」


「~~~~~~~ぷっ!・・・あっはっはっはっは・・・」いきなり目の前で吹き出す女に、紅孩児は驚いた。

「ごめっ・・ごめんなさいねっ!くっくっくっ・・・。な~んか、あまりにも堂々としているから・・
マサカ迷子だなんて・・。」そう、威風堂々としている為、“迷子”になんて見えないのだ。

「イヤ・・・気にしていない。」そう言いながらも紅孩児の頬は紅潮している。

「ホント、ゴメンねっ!あたし桃花って言うの。貴方は?」やっと笑いを抑え、桃花が聞いた。
「俺は紅・・・紅、と言う。」いくら何でも本名を明かせない。

「そっか!紅君って言うんだ・・・あのねー紅君、話があるんだけど?」「話し?」

「ってゆーか、お願いなんだけど・・・。」桃花が言いにくそうに切り出した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『一体、俺は何をやっているんだ?』

紅孩児は心の中で自問した。


玉面公主に言われ、三蔵一行に同行しているという女を偵察・拉致の仕事でこの町に着たというのに、
三蔵一行はおろか独角兕ともはぐれ良く判らないうちに人間の女と行動を共にしている。

『この・・桃花という女。』そっと隣を歩いている桃花を見る。

「お互い連れが見つかるまで、一緒に行動しない?」そう言った。

桃花にすれば、紅孩児は自分を救ってくれた恩人であり、迷子という仲間(?)である。

「また変な奴らに絡まれたら困るから・・・ダメかな?」そう言って紅孩児の顔を覗き込んだ。
それを無下に断れるはずもなく・・・・。

『李厘のヤツにバレたら、からかわれるのがオチだな。』
日頃から“お兄ちゃんは女の人に弱い!”そう言ってはばからない妹である。

『しかし不用心なヤツだな。』
いくら自分の窮地を救ってくれたとは言え、初対面の相手である。
一応、妖力制御装置を付けているが、妖怪の自分にこうも警戒心がないのは・・。

「ねっ!喉、乾かない?」
いきなり至近距離で振り向かれて、紅孩児は危うく頭をぶつけそうになる。

「あっ?・・・ああ。」平常心を装いつつ、適当に返事をすると
「待っててね!」近くの屋台へと駆け出す桃花。

「お待たせっ!・・コーラーで良かったかな?」ニコニコとカップを差し出され、戸惑う紅孩児。

「・・・イイのか?」「へっ?もちろん!お礼だよ。」
自身もオレンジジュースを飲みながら「まー。お金はウチの“保父さん”からなんだけど・・。」苦笑する。

「“保父さん”?」
「そっ!料理が美味くて、優しくて、怒ると笑顔の恐い“保父さん”・・・ちなみに酒は底なしで、
ギャンブルは負け知らず。その辺の人達をカモッてのお金だから、気にしないで。」

凄いことを言ってのける桃花に、紅孩児は目を丸くする。
「お前の連れか?」
「の、一人だよ。あ~お腹も空いたー!フランクフルト食べる?」

また屋台へ行こうとする桃花を制止して、
「女に金を使わせる訳にはいかん。・・・俺が買う。」そう言って、屋台のオヤジに金を出したのだが

「・・・なぜ、使えんのだ?」「お客さ~ん。こんな屋台に万札出さないで下さいよー。」

結局、桃花が小銭を出してフランクフルトを買った。

「紅君っておぼっちゃまなの?」クスクス笑う桃花。
「・・・・・すまない。」大真面目に謝罪する紅孩児に桃花は吹き出した。


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