勝手に最遊記

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Blind Date ―8―


「・・・・違うっ。ホラ・・。」桃花の右腕を取り、バングルをはめてやる。

「・・・お前のだ。」
「エッ?・・ダ、ダメだよっ。だってコレ・・「かまわん。」紅孩児は桃花を見据えて、「安物だ。」
「たっ確かに安いけど、万札で買ったら意味ないじゃん~~・・」「お前に奢られっぱなしでいろと?」
「ソレは・・・。」八戒ちゃんのお金なんですけど・・・。見ると紅孩児が赤面している。

「・・・うん!ありがとう、紅君!!」「・・・・・あぁ。」

仲良く歩き出す二人を、物陰から独角兕が目をウルウルさせながら見送った。


「っっしゃあぁぁ!・・コレで最後か?」ヤクザを蹴り飛ばし、悟浄が満足げに言った。

「無駄に時間を取られましたね。」ヤレヤレと八戒が首を振った。

―――――――ヤクザは一人残らず叩きのめされ、浴衣姿の女達は逃げ出している。
いつの間にか集まった野次馬達からは、ヤンヤヤンヤと喝采が浴びせられた。


「・・・おいっ!てめぇらっ!」三蔵と悟空が野次馬達の間から、抜け出てくる。

「あっれー三蔵サマ♪宿で大人しくしてるんじゃなかっ・・【ガウンッ】イキナリ発砲した三蔵に、
野次馬達が蜘蛛の子を散らすように逃げ出す。

「・・・かすったっての!本気・・「あのバカ女は見つかったのか!?」三蔵の言葉に悟浄が止まる。

「・・ナニ、ソレ。」「あぁ、言うのが遅くなりました。桃花が行方不明です。」
「!?八戒、そーゆー事は、早く・・「そんな事言えるんですか?」
「貴方が美人局なんかに捕まらなければ、今頃探し出していますよ。」グッと詰まる悟浄。

「・・・とにかくだ。あのバカ女を早く・・《ドーーーンッ》・・・。
「すっげぇ~!花火だっ!!」悟空が夜空を仰ぐ。

漆黒の夜空に、花火が咲き出した。



「・・・・すっごーい・・綺麗な花火・・。」桃花と紅孩児は、屋台が建ち並んでいる道で夜空を見上げていた。

暫く黙って眺めていたのだが、「く・・・首が痛くなってきた・・。」

花火から距離が近いため、真上を見上げるようにしていた桃花は苦痛を感じてきた。

「・・・町外れに小高い丘がある。ソコなら無理せず見えるだろう。行くか?」独角兕と飛龍を隠した場所だ。
「うんっ!行く行く!!」喜び勇む桃花。

前を行く紅孩児に付いて行こうとするが、花火を目当てに集まってきた人々が多くて、人波に流されそうになる。
「うっ・・紅・・くん・・。」必死に背中を追いかける桃花の手を紅孩児が掴んだ。
「離れるな。」一言だけ言って、手を握ったまま桃花を連れていく紅孩児。


・・・・・・その光景を、物陰で独角兕が(またもや)目をウルウルさせていた。


「うわぁ~・・・よく見えるよ~!」
町外れの小高い丘からは、打ち上げられている花火がよく見えた。草むらに座ると、気持ちの良い夜風が髪を撫でていく。

うっとりと花火を見る桃花の顔を、紅孩児は盗み見る。おそらく辛い思いをしてきたこの人間に・・・・聞いてみたい。

「・・・・お前には・・・大事なモノはあるか?」唐突に聞かれて、桃花はへ?っと振り返った。

「大事なモノ?・・って??」「守りたいモノ・・・救いたいモノ・・・そう言うモノだ。」
「・・・・あるよ。」「では・・そのモノを守るために・・救うために、世界中を不幸に出来るか?」

紅孩児の言葉に、桃花は紅孩児を正面から見つめた。


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