Making ―2―
古い木造で出来た大きな家屋で、お世辞にも綺麗とは言い難い。
何回か階段を昇って、大広間へと通された。
「しっかし、ココって女しか居ないワケ？」
この大広間に通されるまで、小さな子供から中年まで、
色んな年齢層のヒトを見たが全て女性であった。
「悟浄君にはパラダイスなんじゃないの？」
「この状況で言う？桃花チャン。」
「・・・呑気なこと言ってるな。“姐御”とやらの登場だ。」
大広間の奥に、一段高くなって囲いをされている場所があった。
その囲いを、女達がしずしずと取り払う。
「・・・・・いい男ばかりじゃない。」
現れたのは美しい女であった。
他の者と同じく褐色の肌で、身につけている黄金色の装飾品がよく似合う。
赤と茶の入り交じった髪は大きくウェーブして、腰の下まで伸ばしている。
眼は大きい青銀色で、長い睫毛が縁取られていて魅力的だ。
薄いキャミソールのドレス一枚で、ボリュームのある肢体を惜しげもなく晒し
艶然と微笑んでいる。
足と腕に虎縞の紋様状の痣が浮き出ており、長い尻尾を足に絡ませている。
「アタシの名は鈴麗（りんれい）。ヨロシクね。」
「・・・・何の用だ。」にべもなく、三蔵が言った。
「つれない坊さんね。アタシ達の頼みを聞いて頂戴。
決して悪いハナシじゃないのよ？」
「ジープを返してもらおう。」
「話を聞く気はないって事？・・・コレでも？」
「「「「ジープ！！」」」」
ジープは大きな鳥篭に入れられていた。首輪まではめられている。
「この白竜・・鉄の乗り物に変身出来るんですってね。面白いわ。」
「僕がジープの飼い主です。・・・返してもらいましょうか。」
八戒が珍しく真顔で言う。
「だから・・ハナシを聞いてって言ってるのよ。この白竜が死ぬ事になるわよ？」
「ジープが死ぬっ・・？」
「そうよ。この鳥篭は特別製で、妖力を封じてしまうから変身できないし
この首輪には仕掛けがしてあって、アタシの一言で電流が流れるってワケ。
・・・つまり、生かすも殺すもアタシの心一つって事よ。」
「・・・話とは？」
常人なら卒倒しそうな睨みで、三蔵が聞いた。
鈴麗は面白そうに
「やっとハナシを聞く気になったワケね。簡単よ。
アタシ達の欲しいモノを頂戴。」
「欲しいモノってナニ？オネーサン。」悟浄が口を挟む。
鈴麗はにっこり笑って
「子種を頂戴。」と言った。
「・・・・・なんだと？」三蔵の顔に青筋が立っている。
「・・・聞き間違えでしょうか？」八戒も自分の耳を疑っている。
「いや・・マジなんじゃねーの？」悟浄が落ち着こうとハイライトを取り出す。
「一体、どーゆー事なんだよ！？」イマイチ理解できない悟空。
「こっ・・子種って・・・ツマリ・・。」赤面する桃花。
「どう？簡単でしょ？アタシ達とエッチしてって言ってるんだから。」
平然と鈴麗は言い放った。
© Rakuten Group, Inc.
