勝手に最遊記

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Making ―5―


「悪ぃけど、俺もパス。」

             「「「「エエッ!!!??」」」」


鈴麗の驚きよりも、三蔵達の方が驚いた。

「・・・ナニ、その驚きは?」悟浄の方が唖然としている。

「悟浄!大丈夫かっ!?」
「体の調子でも悪いんでしょうか・・・?」
「鬼の撹乱か?」
「悟浄君・・・どうしたの?」

「アタシとしても、ぜひワケを聞きたいわね。」
鈴麗が憮然として言う。

「いい女は好きだし?気持ちイイ事ヤリてーけど・・・。」
「けど?」
悟浄は髪を掻き上げながらニィッと笑い、
「いい男ってのはプライドが高いワケよ。・・・俺としても子作りだけに
利用されるってのは納得できねーの。判る?」

「・・・たく、アンタ達ときたらっ・・。あの白竜がどうなってもイイの!?」
鈴麗が苛立つ。

「待って下さい!僕らは・・・・。」八戒の動きが止まった。

「八戒?」悟浄が八戒の様子を見る。




                       か・・・・なん・・・・


八戒の呟いた声を、悟浄は聞き逃さなかった。

大広間に集められている女達。
一番隅の方で、遠慮がちにこちらを伺っている女が――――・・・。

『花喃にそっくりだ・・・・。』八戒の眼を引きつける。

その顔、その雰囲気・・・紋様状の痣と、尻尾がなければ
自分の双子の姉―――そして最愛の恋人であった“花喃”そのものである。


「彼女と・・話を出来ますか。」
八戒が鈴麗に言った。眼は彼女から離さずに。

「はっ八戒ちゃん!?」
「八戒、お前・・・!?」

「お願いします。」
八戒には桃花達の声が聞こえないかのようだ。

鈴麗は嬉しそうに笑い、
「ええ、もちろんよ。二人きりになれるように部屋を用意させるわ。
・・・アナタ達も今夜一晩、考えてみて頂戴。」

八戒は花喃そっくりの女と部屋へと案内され、
三蔵達は一つの部屋へ押し込まれた。

「アンタは一緒の部屋で構わないのよね?純粋な仲間なんだから。」
鈴麗は意地悪く笑い、さっさと出て行った。


「なに、あの女!すっげームカツクんだけど!?」
怒り心頭で桃花が足を踏みならす。

「・・・煩い。静かにしろっ。」
酷い扱いに、さらに不機嫌度がアップしている三蔵が睨み付ける。

「でもよー八戒、どうしたんだ?マサカ・・・ホントに子作りに
協力しに行ったんじゃないよな?」
悟空が信じられないと言う顔をする。

「・・・どうだろうな。判んねーよ。」
悟浄がハイライトに火を付けながら言った。


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