勝手に最遊記

勝手に最遊記

Making ―11―


思わず独り言を言いながら、八戒が起き出した。

窓の外を覗くと、山猫族の子供達が遊んでいるのが目に入る。
微笑ましい光景に、笑みを浮かべるが
自分には子作りなど、到底協力出来ないのを思い出す。

『もっと鈴麗さん達と話し合わなければ・・・。』
頭を振って、シャキッとさせる。

部屋の扉を開けて――――・・・『??』


部屋の目の前の廊下で、桃花が眠り込んでいる。

「・・・桃花?」しゃがんでソッと声をかけるが、起きる気配がない。
どうしたんでしょうねぇ、こんな所で?

八戒が桃花を観察すると、洋服を着て、キチンと桃花なりの薄化粧をしている所を
見ると、そんなに前から居た訳ではないらしい。

『・・・僕に用があるのなら、声をかけてくれれば良かったのに。』
そう思って気付いた・・・そして苦笑。

昨日の自分の様子を見て、声をかけようにも、扉を叩こうにも出来なかった桃花の
苦悩する姿が目に見えるようだ。

で、眠っちゃったんですか。――笑いが込み上げてくる。
無防備に眠る桃花の顔を見て、悪戯心が湧いてきた。

ぷにっと頬をつついてみる。
反応がない。
再度、ぷにっぷにっとつついてみる。
「ふっ・・・に。」モニョモニョと口を動かし、ソレでも眠り続ける。

くっくっくっくっ・・・お、面白い・・。
三蔵や悟浄がからかうのも良く判る。


八戒が笑いを堪えていると、パッと桃花が目を覚ました。
「はっ八戒ちゃん!!?」
「あっ・・お早うございます、桃花。」
なんだか妙に笑顔が溢れている八戒の爽やかな顔に、桃花はキョトンとした。

「・・・それじゃ、三蔵達は大蛇を退治しに?」
桃花から話を聞いて、八戒が腰を浮かす。

「まだ!・・・動かないでよ?只でさえ、不器用なんだからっ。」
桃花は八戒の傷を手当している。
八戒は大した事はないと断ったのだが、桃花に許されるはずもなく
手当を受けている。

「・・・はいっ。コレでよしっ!」
傷よりも妙に包帯が大げさに巻かれているような気がする。
「あんまりケガしないでね?八戒ちゃんは自分のケガ、治せないんだから。」

「・・・はい。ありがとうございます。」
八戒は素直に感謝した。
手当ではなく、ケガした理由も、昨夜のことも聞かないでいてくれる事に。

「んじゃ行ってよーしっ!三蔵達に加勢してやって。」

大蛇が暴れていては危ないからと、大体の方向だけ聞く。

「三蔵達が暴れていれば、場所は判りますから。」
にこやかに手を振りつつ、八戒が駆け出していった。


「あのヒトも行ったの?」鈴麗がやって来る。

「うん。コレで鬼に金棒かな?」

「あのヒト・・・春李を抱かなかったらしいわ。」
鈴麗が桃花の顔色を窺う。

「そっか。」短い桃花の言葉。

やっぱり傷ついてしまった

あのヒトを抱こうが、抱くまいが関係ない

癒えることのない傷は、薄く瘡蓋(かさぶた)が張っては、また破れ

新しい血を流す

あの手の傷が流した血は

彼の

見えない心の傷が流した涙 


「八戒ちゃん・・・。」


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