勝手に最遊記

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Making ―13―



「・・・さてと、親玉の登場か?」
膨れ上がっていく妖気に、悟浄が顔をしかめる。

「来たっ・・!」
悟空が如意棒を構え直す、瞬間―――――・・・

キシイイィィッッ!!
岩を撒き散らしながら飛び出したその姿は

「・・・でけぇ。」
悟浄が唖然とした。

「チッ!この大蛇っ・・。」
素早く三蔵が弾を込める。

「双頭の大蛇・・ですか。」

大蛇の群の親は、ゆうに10メートルを越す大きさで、しかも
頭が二つもある異形の妖怪であった。

「カンケーねえっ!頭が二つあろーが三つだろーが
ブッ倒す!!・・・腹減って死にそうなんだからよっ!!」
いささか見当違いの怒りを大蛇に向けて、悟空が突っ込んでいく。

「いいねぇ、猿は単純で。じゃ、俺も行きますかっ。」
軽い調子で錫杖を回転させながら、悟浄も後を追う。

「三蔵。貴方の廻りには蛇を近づけませんから
やってもらえますかねぇ?」

「・・・ふん。ハナからそのつもりだろ?」

観在自在・・・照見五・・・皆無・・・・・波羅僧・・・・・般若心経・・・・・


八戒が気を放ちつつ、三蔵の廻りに大蛇を近寄らせない。
悟空と悟浄はしきりに親大蛇に攻撃を仕掛けている。


――――――――――――――「魔戒天浄!!」―――――――――――――――







桃花は自分達が泊まっていた部屋で、呑気にお茶を飲んでいた。

「此処にいたの。」
鈴麗が尻尾を揺らしながら入ってきた。

「アンタ・・呑気ね。仲間が心配じゃないの?」

「別に?八戒ちゃんも行ったし、殺されても死ぬような奴らじゃないから。
まー帰ってきたときの方が恐いけどね。」

「どうして?」

「俺に面倒な仕事させるんじゃねぇっ!・・・って言いながら
ハリセン喰らいそうで。」
思いっきり顔をしかめた桃花を見て、
「フフッ。楽しそうじゃない。ちょっと羨ましいわよ?」

「・・・・ソレはどうかと。
でも、三蔵達と一緒に旅が出来て、良かったと思ってる。
あたしは全然足手まといなんだけどさ。」

「どうして旅をしているの?理由(わけ)あり?」


――――――桃花は旅を一緒にする事になった経緯を簡単に説明した。
妖怪達を暴走させた原因を突き止め、正そうとしていることも―――――


「なるほどね。負(マイナス)エネルギーの波動・・・が。」

「三蔵達に任せておけばソレでいいかも知れない。
あたしなんかが介入しても、意味が無いかも知れない。
ムダ死にするだけかも知れない。
それでも、西に行く――――。後悔だけはしたくないから。」

鈴麗は桃花の眼をジッと見ていたが、
「アンタって・・・。」
そう言いかけたとき、

「キャアアアァァッ!!」

住処の外から少女の悲鳴が聞こえてきた。



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