勝手に最遊記

勝手に最遊記

Making ―19―



「あの春李という人は、花喃に似てたんです。」

「でも、姿形だけでした。」


僕が愛した


ただ一人の女性(ひと)


「それなのに、僕は。」


守りたかった


「僕は。」


唯一の愛


「・・・抱こうとしたんです。」        


花喃


「最低です。」


花喃

僕の半身

神が許さなくても

愛し合ってしまった

僕の


僕の半身


只、懺悔をするかのように、

手を合わせ、肩を落とし、俯いたままで、


「僕には、もう、誰かを、愛する事なんて・・・・許されはしない、のに。」


罪に汚れた両の手


果たすことの出来なかった約束


『さよなら、悟能』


最後の笑顔が


とても哀しくて


哀しくて

「・・・・・・花喃さんが、可哀想だよ。」

桃花が八戒の手を取る。自分より大きい手を、温めるように。

「桃花・・・?」八戒が顔を上げる。
黒曜石の瞳が、自分を映している―――・・・悲しげに。

「あたし、花喃さんのこと、なんにも知らない。でも、八戒ちゃんのお姉さんなら
きっと八戒ちゃんに似て、優しいと思う。」
違う?眼で問う桃花に、微かに頷く。

そう・・・花喃は優しかった・・・とても。

「その花喃さんが、八戒ちゃんに孤独な人生を
送って欲しいと思う訳無い・・・でしょ?」

「それは・・・。」八戒が戸惑う。

「きっと、幸せな人生を送って欲しい・・って思ってるよ?」
桃花の言葉に、八戒が弾かれたように身を起こす。

「どうしてっ・・どうしてそんなことが言えるんです?
僕は彼女を守れなかった!愛してたのにっ・・僕は、僕は・・「八戒ちゃん!!」
手を強く握り、大声で八戒の言葉を止める。

「逆なら?八戒ちゃんが死んで、花喃さん独りで生き残ってたら?」

逆?逆だったらなんて、考えたこともない。

だって、過去は変えられないモノだから―――――――――



© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: