勝手に最遊記Ⅱ

勝手に最遊記Ⅱ

Separation―11





玄関から、朝日が薄く射し込んできている。 

その光を受け、金糸の髪が透けて、美しい陰影を顔に縁取らせているのは・・・・。



『・・・敵わないなぁ、三蔵には。』 苦笑が浮かんだ。



壁に背を凭れ、何喰わぬ顔で煙草を吸っている。 いくら三蔵が早起きとは言え、この時間に起きている訳がない。
恐らく・・・自分の様子に不審を抱き、此処でこうして居たのだろう。



はぁっと息を吐き、歩き出した。



コツ コツ コツ コツ・・・・・・・・・ゆっくりと。ブーツの足音だけが、廊下に響く。


鬼畜だけどさ。
“この役立たずがっ!引っ込んでろっ!!”


                       コツ   コツ    コツ・・・・


生臭坊主だけどさ。
“バカかてめぇ!!湧いてんじゃねぇよっ!!”

                       コツ    コツ    コツ・・・・


タレ目だけど・・さ。
“何処で死んでも良いが、俺らの前で死ぬんじゃねぇぞ。”

コツ    コツ・・・・・・・【トォン】・・・・軽く。    桃花が三蔵の胸に 肩を寄せた。






「ばいばい、 三蔵。」






見開かれた、紫暗の瞳。





                    離れていく、慣れた気配









                             掠めていった、髪の薫り




『らしくっ・・・ねぇっ。』己の中に過(よ)ぎった、苦い想い。




思わず、 視線が桃花を追った 迷うことのない足取りで 出て行く桃花の後ろ姿・・・・・



『振り返れっ・・・。』グッと歯を喰いしばった。振り返って・・・・「ごめーん三蔵!お願いがあるんだけど・・。」
いつもみたいに、手を合わせて言ってみろ。 そしたら・・ハリセンの一つも喰らわせて・・・・      




その紫暗の先に   『・・・っ!』




振り向きもせず。  三蔵に向けて 背中で手を振って歩いて行く、桃花の姿が。

射し込んできた明るい朝日に。











――――――――――――――――――――消えて、行った。





to be continude・・・・・






















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