勝手に最遊記Ⅱ

勝手に最遊記Ⅱ

Decision―7




なるべく、難しそうな専門書を選び購入する(ちなみに「人体工学・生命の経緯と過程」)
分厚い本を小脇に抱え、散歩がてら公園へと足を進めた。 


宿屋に篭もって本を読むより、公園のベンチでじっくり読む心づもりである。ベンチに腰を下ろし、ページをめくり始めた。

ビッシリと詰まった、活字・活字・専門用語・・・・それらを目で追いながら、思考は別の方向へと傾く。
『悟浄とは、アプローチの仕方が違うだけですねぇ・・・。』フッと笑みが漏れた。

本から目を離し、薄暗くなってきた空を見上げる。 外灯がベンチ横に有るために、活字を追うには不自由はないのだが。


『・・・・・・・・桃花。』

ちっとも 年上らしいヒトじゃありませんね。


初めて年齢を聞いた時には、本当に驚いたものだ。 童顔で、見かけが“らしくない”雰囲気が有る為なのだが。


「うっわあ!コレ、八戒ちゃんが作ったの!?美味しい!美味しいよ!!」
「・・・あのね、八戒ちゃんv 実は・・服が破れたんだけど・・・あははは。」
「ぎゃあーっ!助けて~八戒ちゃん!三蔵がっ・・三蔵が、あたしをブツんだよぅ!!」

――――――どう、見ても。 年上の女性には思えないんですよね・・・・普段は。

夜の闇が色濃くなって来ていた  公園には人通りが無く、静かな虫の音が響いている







                       「いいよ、判ってるから。」


穏やかに微笑む 桃花の顔が浮かぶ



                        「嬉しいぐらいだよ?」・・だから、気にしないで?

すみません、桃花

――――――――――守られるのを、良しとしない桃花を  どうしても、放っておけなくて


守りたくて         大切にしたくて       過保護な保護者を気取って


でも、・・・本当に、守りたかったのは   “花南”

花南の代わりに     花南の身代わりに     花南の型代にして・・・・・貴女を


貴女を  大切にしている  フリをしていた僕を 「いいよ、花南さんの代わりでも何でも。」



――――ジープでの野宿。 そっと抜け出した桃花を心配して、後を追って・・・二人きり。

目映いくらいの星空の下―――――「・・大丈夫だって。ジープはすぐソコだよ?叫べば飛び起きてくるでしょ?」
八戒ちゃんは心配性だね~・・と、笑って夜空を見上げた桃花の横顔に。 何故か 何故か、違和感を感じて。
「大切にしてくれてるのは・・うん、大丈夫だから。」その言葉に、思わず口をついて出た言葉。

「僕が、僕が大事にしてるのは・・貴女じゃなくって・・花南を・・花南の代わりに、貴女をっ・・。」
「いいよ、判ってるから。」・・・ニコッと。微笑みさえ浮かべて。「あたしは、全然、かまわないから サv」


もしも、もしも・・・・貴女が、僕のことを好きで 僕も、貴女を・・・としたら。絶対、許されない行為でしたでしょうね。
死んだ恋人の代わりに―――――なんて。

笑って、かまわないと。そう言ってくれて・・・・――――僕が、どれほど救われたか・・・「誰か・・助けてっ!!」

八戒が顔を上げると、少女が男達に絡まれている。  『・・・・やれやれ、ですねぇ。』

密かに嘆息した。 

正直、こんな時に関わり合いたくはない のだが。『放っておくわけにも・・。』ゆったりとした動作で、ベンチから立ち上がった。












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