AM 11:15
通された分娩室は分娩台が3つあり、私は一番奥だった。
この分娩台に上がるのってかなり苦労した。陣痛の波が来るのに機敏に分娩台へは上がれない。
それに、両足を固定させられ、足を開くと陣痛の痛みを逃す事が出来ず痛みが直撃!
で、分娩スタイルへどんどん準備されその間、手前の分娩台の既にいきみ体制の妊婦さんのすごい叫び声が聞こえてきた。
そしてついに、ヒヒ-フーの出番だ。看護婦さんに言われたとうり、ヒイヒイフーを繰り返す。
今まではいきんじゃ駄目よ。と言われていたから、ここぞとばかり全身の力を振り絞って初めて息んでみた。
分娩台の両端に手すりがありそこを握り締め、思いっきり!ううううう~んん。
誰かのお母さんが言ってたな。大くそする気分だねって←汚くてゴメンナサイ
でも、本当!全身を下半身に集中させて、お腹を見る感じで上半身が自然と持ち上がる。
看護婦さんがしてくれた、酸素チューブが邪魔で思わずパッと振り払うほどいきんだ!
が、十回以上いきんだところで、まだでない。それどころか、隣りの台にもう一人妊婦さんが現れた。
そして、遠くで凄いいきみの声と共に、オギャ-と産声が聞こえた。そして、
「はあ、終わった~」と。
その瞬間陣痛がひいた。そして、気づくと回りの看護婦さんは殆ど居なくなりバタバタしだした。
私は、まだまだ掛かるから、しばらく一人で頑張って!状態だった。
陣痛の波が来ても誰も居ない。なんてこと!
そういえば、旦那は?
分娩台に上がる時、すごく遠く待合室の方で、腕組して立ってる姿が、チラッと視野に入ったのを思い出した。
呼ぶの忘れてた・・・・。でも、彼を呼ぶと手前で頑張ってる妊婦さんを見て通ってくる事になる?
邪魔かな?誰も旦那さん呼んでないし。立会いしなくても、私が頑張れば・・・、それにかなり凄い事になってるし。
ああ、また来た~。
誰か助けて~と思っていきみを繰り返すと、今度は隣りで、オギャ-!
えぇ~。私より後にきたのに・・・。
居残りは私?と思ってるまもなく看護婦さんが戻ってきた。そしていよいよ本番。
先生も駆けつけ、何度がいきむがやばい事に、何か違うものが出てきちゃた!?
看護婦さんはしかめっ面だけど、はい、もう一回頑張りましょう!って、何が出たのかな?
恥ずかしいよお。でも痛いよう・・・
先生の合図でもう一度!全身の毛穴が開いてるのが判った。そしてパチンと何かの金属音がして、
はい、頭でたよ~、もういきまないで~。フーフーしてね。息はいて!
一瞬ヌルット、ツルッしたものが出た感じがした。
先生と助産婦さんがなにやら慌ててる。赤ちゃんは?鳴き声は?
産まれたんだよね?と不思議に思い顔をあげると、やっと、小さな声で、フウギャ-★
終わった~!
そして、臍のをがまだ付いたままのクシャクシャ顔の赤ちゃんを先生が見せてくれた。
程なくして胎盤らしきものが出たのが判った。チラリと見えたそれは、肉の塊?のようで今となんってははっきり思い出せない。
二度目にゆう君を目にしたのは、汚れを落としてもらって白い布に包まれたゆう君だった。
思わず手が出たが、看護婦さんに止められた。まだ触らないでね!って
でもなんて小さいんだろ。うううう~ん。赤ちゃんだあ。って思うと声にならなかった。
三度目にやって来たときは、助産婦さんが
まだ出ないだろうけど、オッパイあげてみようね~
と胸元へ持って来てくれて初授乳?
誰に教えられるでもなく口をチュチュして母乳お飲もうとしてる姿には感動して涙出そうだった。
そして先生が切開した所を縫合して下さってる間に分娩室はどんどん片付けられてゆき、閑散としてしまった。
そしてようやく縫合も終わり、ストレッチャーで病室へ移動する為出た廊下の日差しが凄く優しく暖かかった。