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2013.10.22
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カテゴリ: 小説
戦後の旭川で、妻の夏枝が医者の村井と浮気している間に娘のルリ子を殺された病院長の辻口が夏枝への復讐のために犯人の子供の陽子を養子にして育てさせたら夏枝にばれてしまい、夏枝が陽子をいじめたあげくに陽子の恋人の前で陽子が犯人の子供だと言ったら陽子が自殺してしまう話。
三人称で時系列順に短い章が展開する。古い小説だけあって文体も野暮ったく、()に心理描写するあたりはひねりがなくて心理描写を物語の面白さとして活かせていない。
汝の敵を愛せよ、という言葉とは逆に夏枝への復讐のために辻口は犯人の子供を引き取ることにしたのだけれど、もう一人の敵の村井へは何も復讐をしていない。村井は夏枝に惚れてて執拗に絡んできたくせにあっさり結婚して物語から消えてしまい、村井の存在は何だったのか意味不明。
また物語のあらゆる点で恋愛が絡んでいて、強引に恋愛で物語を展開するのはよくない。登場人物が片思いしていたり三角関係だったりという人間関係ばかりで物語が構成されていて、犯罪者の娘にどう向き合うかという当初のテーマからどんどん物語がそれていく。
辻口に片思いした挙句に行方不明になる看護婦の由香子の話はそれがメインストーリーの伏線にもなってなく、辻口の思想を掘り下げるわけでもなく、ただドラマのための場面という感じで無駄なエピソードに見える。必然性もなく伏線にもならない脇役の恋愛をだらだら書いてしまうのは女性作家が陥る悪いやり方だろう。
---------------ネタバレ----------------
陽子が高校生になって恋愛悲劇小説風の展開になったところで、実は陽子は犯人の子供ではなかったと明かされるのが最後のどんでん返しになっているものの、伏線もなくいきなり関係ない人間を登場させて読者をだます形で物語をひっくり返すので、そりゃ反則だろうという感じになる。
高木は辻口の人格を信用して犯人の子供でなくてもかわいがるだろうということで陽子を辻口に預けることにしたというけれど、物語のはじめのほうから辻口はロリコンの復讐者として書かれていて、読者にとっては辻口の悪い面だけ見せられていて高木が辻口が人格者だと言う説得力がまるでない。
自分は自殺しないと言っていた陽子があっさり自殺するあたりもリアリティがない。殺人犯の娘と判明したから自殺するというのは道理が通らない考え方で、その考え方に信憑性をもたせるような物語の展開も心理描写もされていない。戦後の1946年が舞台で、戦争で人を殺してきた兵隊やその子供がそこらじゅうにいることくらい高校生にもなれば気づくだろうし、殺人犯の娘と判明して自分が罪人の子供だから自分も罪を犯す可能性があるからというあいまいな理由で自殺するのには無理がある。このあたりの物語の核心部分の設定が矛盾しているように見える。



辻口が主人公かと思いきや、途中から陽子が主人公の物語になってしまって辻口の愛と復讐というテーマはほったらかしにされて、継子いじめをする継母とけなげに純愛する少女、血のつながってない兄と妹の恋愛感情、という安易な方向へ逃げてしまった。書き下ろしでなく新聞の連載小説だったのも原因だろうけれど、センセーショナルなテーマを取り上げておきながらテーマを掘り下げきれずに安易な恋愛小説として物語を終わらせてしまうあたりは所詮大衆文学という感じ。この小説でほめられる点は新人なのに長編を書ききったということくらい。辻口の思想やキリスト教的テーマを一貫して掘り下げていたらもっと読み応えのある小説になっていたかもしれない。
あるいは設定をちょっと変えて、実は陽子は辰子の子供だったという展開にすれば辻口が辰子に惚れていたり陽子が辰子になついていたりするエピソードが伏線として活かせてエンタメとしては面白かったんじゃなかろうか。

★★★☆☆

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最終更新日  2013.10.22 19:27:39
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