ねぇ、もう一度。。。

ねぇ、もう一度。。。

合宿 2




「ササちゃん手だして。」
 私は分からずに手を差し出した。公園の照明でキラリと光り、私の手の平には失くしてしまっていた蝶のペンダントが置かれた。
「これ・・・私の・・・。」
「夕飯の後ちょっと見に行ってみたらあったからさ。」
「ありがとう・・・。」


 思わず涙が出た。溢れ出て止まらなかった。



「泣かんでよ~泣かすために見つけたんじゃないんだから~。」



 彼が慌てて私の頭をヨシヨシと撫でながら私の顔を覗き込みながら私に言ってくれた。
「ササちゃんに喜んで貰いたくて…驚かせてごめんね。」
「ううん、私こそごめんね急に…。でもありがとう。」
「早速だけどそれつけていい?」
「うん、お願いします。」



 彼が私にペンダントをつけてくれた。抱きしめてもらっているようで一人緊張して何も言えなくなっていた。はいっと言って彼の腕が離れた。




「時間かかっちゃってごめんね、こういうことすんの初めてで…。」



 少し照れながら彼が言った、とても彼が可愛く見えた。そして何よりとても嬉しかった。


「ありがとう、本当に嬉しいよ。」


 そう言うと彼は私を抱きしめた。とても強くて苦しいくらいだったけれどそれでも嫌ではなかった。





「急にごめん。」





「ううん…。」




 彼に抱きしめられてどの位たったのかはわからない、それでも彼の肩越しから見た夜空はとても綺麗だった。
 お互い何も言わずただ私はただ彼のドキドキという心臓の音があまりにも近くにあって、ドキドキしていたのは私だけじゃないんだと安心しながら瞳を閉じた。



 その後は二人で彼の部屋に戻りみんなで夜中まで騒いだけれど、二人で過ごしたあの時間のことは他の人には話したくなかった。





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