佐竹台8丁目25番地―12

七夕花火('00/07/07,08)


…当たり前のことだ。
でも、私にとっては特別な日だ。
そう、大ファンの藤井康雄さんの誕生日。

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2000年の話。
「アーチスト」 でも触れたから、
敢えてもう一度書く必要は
無いのかもしれないけど、
やっぱり書くことにする。

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この日のGS神戸は、花火ナイターだった。
だが、台風の影響で強風が吹き荒れていた。

この年のBW-Bu14回戦。
先発はBW川越-Bu田畑。

この年の4月に、康雄さんのHRを見ていた私は
また、いつものように無理やり弟を連れて
前から8列目の、F-8列に座った。
「F」=「藤井」のイニシャルを意識して。
8列目は、いつものジンクスで。

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この試合、一言でいえば、BWの完勝だった。
3回裏、日高のタイムリーとイチローの犠飛で2点先行。
4回裏、日高のHRでさらに2点追加。

それに対し、川越は立ち上がりから
安定感抜群のピッチングを見せ、
5回を無失点で切り抜ける。

そして5回裏。このイニングが終われば、
花火大会だ。

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しかし、予想したよりも若干早いタイミングで
花火大会が始まった。

5回裏、1死一塁の場面。
打者は、この日が38歳の誕生日の、康雄さん。
第一打席では、「Happy Birthday to you~♪」の
音楽が流れた。

その第3打席。

カウントは全く忘れた。

ただ、康雄さんの打球は、珍しく
あまり高く上がらず、少しライナー性だった。

風の影響もあったのかもしれない。


ただ、いつものような高く舞い上がる打球ではなかったが
打球が、どんどんこちらに向かって大きくなってくる!!


そして、私のちょうど1列前、7列目に座った、
ビールを飲みながら観戦していたお客さんが、
座った横に置いてあったビールを直撃した。

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驚いた。
あと、少し冷たかった。

直撃されたビールの飛沫が、足に少しかかったのだ。

でも、そんなことはどうでもいい。とにかく幸せだった。

バースデーアーチを、しかも間近で、目の前で見ることができたのだから。

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その後、ナナリー(懐かし~)、アリアスの連発もあり、8-0に。
もう、こうなれば、後は花火を待つだけだった。

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…しかし、強風の影響で中止になってしまった。
あと、完封ペースの川越が、8回に押し出し四球を出したこと。
この試合で不満だったのは、それ位だった。

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この日の勝利で、BWは首位に返り咲いた。

この試合のスコアはこちら

この年は、開幕ダッシュに大成功したものの、
5月、6月のブレーキで順位を下げていたのだった。

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でも、人間とは欲が深いもので、
花火が見られなかった悔しさもあり、
次の7/8も連荘でGS神戸に、
また弟を無理やり引っ張って出かけた。
そして前日と全く同じ席に座り、観戦した。

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この日は、先発BWカルロス-Buウォルコット。
互いにローテーションの谷間で、
あらかじめ継投合戦が予想された。

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ただ、この日のBuの投手起用は
予想していたものよりも徹底していた。

先発ウォルコットを3回投げさせて、スパッと諦める。
そして、4番イチロー、5番藤井と2人の左が続くところに
左投手をぶつける。
そして、また右投手に7人を任せ、
また4番、5番に左をぶつける。

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BWは1回に、谷、イチローの連発で2点を先制したものの、
このBuの作戦の前に、追加点が取れない。

その間に、4回表にBuがクラークのソロで1点返す。

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5回の裏が終わり、やっと花火大会。
1日待たされただけあって、盛り上がった。

確か球場内には、その前年にブレイクした、
モー娘の「LOVE MACHIENE」がBGMで流れ、
「wow wow~」に合わせ、花火が「ドン、ドン」と
打ちあがったのを覚えている。

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その後の展開は、Buが武藤のHRで追いつき、
BWが代打五十嵐の犠飛で突き放す。

しかし、9回表に、この年に米から呼び戻された
抑えの木田が打たれて追いつかれ、延長に。
嫌な展開だった。

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しかし10回裏。
(※詳しくは覚えていないので、間違いがあったら、ご指摘ください)
1番、田口が安打、
2番ナナリーの3ゴロをBu中村の2塁への悪送球、失策で
無死1,2塁に。

ここで3番谷が、犠打を決めて1死二,三塁に。

この場面で4番イチローを迎えたのだから、敬遠するのは当たり前。
外野席で「ブー、ブー」言いながら、心の中で納得していた。

そして1死満塁となったところで、5番藤井康雄さん。

Buはサヨナラのピンチの場面なので、当然守護神大塚を送り込む。

さあ、満塁で康雄さん。願うはただ一つ。
ライトスタンドで打球を待つ。

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初球。
大塚の独特の落ちるスライダーを大振りして空振り。

2球目、ファール。
あっという間に追い込まれてしまった。

ここまでノーヒットの康雄さん、「アカンかも…」と
いやな予感が頭をよぎる。

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3球目、確かファールだったと思う。

とにかく、1球目と明らかにスイングが違ったのを覚えている。
ボールに「当てに」いっていたのだ。

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そして4球目。
康雄さんが何とか当てた打球は
高くワンバウンドして、投手と三塁と遊撃のちょうど間へ。

前進守備の三塁・中村が、同じく前進守備の遊撃を制して
ボールを捕って、素早く捕手へ返球する。


しかし、三塁走者の田口は、盗塁のスタートは下手だが、
走塁のスタートは上手い選手である。


満塁なので、本塁は封殺プレーなので、タッチは不要だが、
捕手が捕球する間一髪先に本塁ベースに突入した。

その時の様子はこちら

球審が大きく手を横に広げ、同時に試合は終了した。

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康雄さんの魅力はやはり、HRだ。
高く高く舞い上がるHRにあこがれて、
それを見に通っていた。

でも、チームとして最優先しなければいけないのは「勝利」だ。

康雄さんは、1死満塁、「絶対に三振だけはしてはいけない場面」で
HRへのこだわりを1球目で捨て去って、
冷静に、確実にボールに「当て」にいったのだ。


それがこのシーンを見ていて、はっきり分かった。
そして、ますます康雄さんのファンになった。

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ヒーローインタビューを受けながら、
「僕なんかでいいんですかね…」と
謙遜して見せた康雄さん。

いやいや、十分にヒーローですよ。
しいて言えば、三走だった田口さんと
「合わせ技一本」って感じだけど…。

でも、そのチームプレーに徹する姿を見せてくれただけで
十分に、最高に格好いい「ヒーロー」ですよ。

そのインタビューを聞き終えてから、球場を後にした。

この試合のスコアはこちら

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結局翌日7/9も勝利したBWは首位を守った。
しかし、この後連敗し、7/12日にはLに首位の座を譲る。

この後、何とか前半戦は首位とほぼ近い順位で
折り返すことはできた。

しかし、この年のBWは後半戦開幕後の「17連戦」という
殺人的なスケジュールの前に怪我人が続出。
7/7の勝利が、この年の川越の最後の勝利になってしまった。

そして、この後首位を奪い返すどころか、
逆に後半猛スパートをかけてきた
日本ハムファイターズに追い抜かれてしまい
結局4位でシーズンを終えた。

仰木監督にとっては初めて指揮チームが借金を抱え、
初めてBクラス、という屈辱を味わったシーズンだった。

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そして、何よりも、イチローが
BWに在籍した最後のシーズンだった。

この後、BWは一度もシーズンをAクラスで終える、という
「阪急」が「オリックス」になってから11年間連続して、
当たり前のように継続してきたことが
全く出来なくなってしまった。

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そんな現在の現実から考えてみると、
たった5年前の出来事なのに
はるか昔のことのように思えてしまう。

もう5年経ってしまったんだ、と思ってしまう。

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七夕に見たHR花火。
そして優勝争いに絡むBW。

今ではもう、「夢物語」だ。

でも、今年も春になれば、シーズンが始まればきっと…。
BWではなく、Bsになってしまったけど今年こそきっと…。


今、風邪を引いている私だが、
この風邪はいつか、早いうちに治るだろう。
治すための薬だって、注射だっていくらでもある。


でも、私の野球中毒は多分一生治りそうに無いなぁ、と改めて思う。


['05/02/06]


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