二代目のお嫁さんなり

二代目のお嫁さんなり

リアルワールド/桐野夏生


著者名:桐野夏生

感想
母親を殺してしまった少年とその逃亡に関わった女子高校生4人。
それぞれの立場から想いが書いてあって、5人の人格が完全に確立されているのが興味深かった。母親を殺した少年の動機や行動はありふれていて、ワイドショーの延長上にある気がしたけど、その彼とつながりを持ち、殺人犯という別の世界にいる彼の逃亡を同情したり、応援したり、軽蔑したりする4人の女子高生たちそれぞれの想いはなかなか面白かった。
高校生たちが登場する物語にしては、結末が悲惨で、その中に強さや弱さや大人たちへの反発やいろんなものがあって、自分の高校時代といろんな部分で重なることに驚いたりしたけど、どれもこれも「フツー」の感情なんだろうなぁ、と冷静に思ったりした。
桐野夏生の小説は「OUT」しか読んでないけど、テーマ設定が悲惨な割に難しく考える必要がなくて一気に読めるのでいい。
わざと難しい漢字を使うあたりが、ちょっとわざとらしい気もするけど。


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