窓辺でお茶を

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レスター・ブラウン講演会

レスター・ブラウン氏講演会


 レスター・ブラウン氏の講演会「持続可能な未来への展望」を聞いてきました。
立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科主催です。
立教大学のキャンパスは蔦のからまるレンガの校舎に囲まれた中庭に木が植えてあってとてもいい雰囲気です。写真を撮りまくりたくなりましたが、恥ずかしいのでガマン。会場は大きな階段教室ですが、満席でした。学生や若い人もけっこう来ていて頼もしく思いました。

 レスター・ブラウン氏は20世紀後半のような経済活動(オールド・エコノミー)をプランAと名づけ、このまま続けていくと環境は破壊され、経済も破綻すると警告を発しています。「環境は経済の一部ではなく、経済が環境の一部なのだ」として環境と調和する経済、エコ・エコノミーを提唱。そのニュー・エコノミーをプランBと名づけ、早急にプランBへと転換することを訴えています。

 9・11以降、世界の目はテロに向けられてしまったけれど、環境破壊の危険の方がテロよりさしせまっていて危険とブラウン氏は考えています。
温暖化、海面の上昇、地下水位の低下などが起きており、それによって農産物の生産量が減りつつあります。消えた古代文明について調査してみたところ、シュメールは過剰の潅漑による塩害、マヤは森林伐採で表土が流出など、食料を供給できなくなったことが滅亡の原因であることがわかったそうです。

 現在世界の人口の5パーセントであるアメリカ人が30から40パーセントの資源を消費している。
このまま行って中国人が2031年にはアメリカ人と同じ生活スタイルになったなら、世界の穀物の3分の2を食べつくしてしまい、11億台の車を持つようになって1日の生産量より多い石油を1日に使ってしまうことになり、紙の消費量も倍になってしまう。中国のみならずインドやその他の途上国もある。つまり、西洋式の消費はなりたたないということなのです。
再生可能なエネルギーを使い、リサイクルをする(水も含め)ことが解決のカギになるということです。例えばその地域ごとに合ったエネルギーを使う。風力や地熱など。日本は地熱を利用するのがよいのではないか。

 プランBへの転換は今ある技術を使ってできるはず。・マーケットが生態系について知るべき。・人口を安定させないと水不足などは解決できない。・初等教育と医療保障をすべての人に。・貧困の撲滅と人口の安定にはアメリカの軍事費の3分の1で足りる。・環境破壊に伴うコストを環境税などの形で経済に組み込むべき。・対話により問題意識を共有化することが大切、など示唆に富む内容でした。

 より詳しく正確なブラウン氏の問題提起、解決策の提案を読みたいかたは
レスター・ブラウン著 「プランB  ―エコ・エコノミーをめざして― 」出版・ワールドウォッチジャパンをお読みください。

 締めくくりの言葉は「私とあなたが何をするか」でした。傍観者ではいけない、何か始めなくては、ということです。
講演のあとコーディネーターの阿部治教授との対話、質疑応答がありました。

 この「プランB」を5冊以上買った人をチーム・プランBと呼ぶそうで、アメリカには何千冊も買って世界中の富豪に送るという人もいるそうです。



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