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Esprit*

Esprit*

2007.08.07
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彼は「なぜ?」を繰り返した。
私は自分の気持ちの整理がつかないから、としか言えなくて、
いろいろな面で準備期間が必要だ、と彼を説得して
半年ほど時間の猶予をもらうことで話が落ち着いた。
親はマリッジブルーだろうと、軽く笑って承諾してくれた。
彼の親は足踏み状態になるのを恐れて、早くしたほうがいいと
せっついてきたのだけれど、
私の頑なな拒否反応に有無をいわざるを得なかった。



彼氏と結婚するということ。
彼と一緒になれば幸せな日々が確約されている。
彼は私を心から愛してくれている。
それで万事うまくいくはず、と考えていた。

・・万事うまくいく?
何から逃げるの?
彼の父親から??
仕事から??
実家のしがらみから??

・・先輩から??


結局、私の考えるところはいつもここからがスタートになる。

私はいつまでたってもあの中学校の玄関に置き去りにされた
高校2年生のままなのだ。




ちょうどその頃、私は職場で怪我をした。
ショールームから看板の人形を外へ運び出そうとして、
2メートルほどの高さのところからパンプスで足を滑らせて、

その日一日は痛みをこらえて仕事を続けたけれど、
翌日には右足のくるぶしが真紫に腫れ上がり、
診察に行った病院で靭帯亀裂と診断され、そのまま手術。
全治2ヵ月とされた。


自宅療養で家で休んでいたときのこと。
見慣れない携帯番号からの電話が鳴った。

「・・はい、○○です。」

この頃はまだ携帯を持っている人自体が少なかったから、携帯の犯罪なんて
なかったし、安易に知らない番号でも取ることは普通だった。


「あ、もしもし。俺。※※です。」

・・その声は紛れもなく先輩の声だった。

「は、はいっ?」

会社の連絡網で社員の携帯番号はすべてメモリ登録してあった。
先輩の番号も入ってる。
だから仮に電話がかかってきても名前は出るはずなのに、
画面に先輩の名前は表示されなかった。

「・・え?先輩??この携帯番号って・・」

「あ、会社用とプライベートと二つあるからさ。
 会社に自分の番号知らせるの嫌だったから。」

その当時、携帯の権利加入が5万くらいしてた時だから、
2台持ってる人なんて多分いなかったと思う。
私はちょっと驚いてしまった。

「ここ3日くらい見てないからさ、何かあった?」

先輩が私が出社していないのを心配して電話してくれたのだった。

「はい、外の看板を出そうとして・・」

私が事の流れを説明すると先輩はそうか、大変だったな、と
やさしく声をかけてくれた。
私が怪我をして松葉杖のところを先輩は工場の中にいて見てなかったようだった。


「・・そうか、2ヶ月か。」

先輩の言葉が何かひっかかった。

「・・何かあるんですか?先輩。」

「うん・・、多分、キミが復帰する頃には俺、営業所にいないと思う・・。
 隣市の営業所に転勤が決まった。」


て・・ん・・・き・・ん・・・


目の前が真っ暗になった。







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Last updated  2007.08.08 00:51:53


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