Secret

PR

Profile

Esprit*

Esprit*

2007.09.13
XML
テーマ: 愛しき人へ(899)
カテゴリ: カテゴリ未分類


イタリア料理の職場はCLOSEが10時。
仕事の帰りだから夜10時半くらいになってしまう。
それでも先輩は待ち合わせの場所で、車の外で待っていてくれた。

「久しぶり。」

先輩にそう言われて返す言葉がない。

「ウソウソ、ごめん、怒った?」

先輩はそう笑ってくれるけど、それは私のほうが言いたい台詞だ。


連日連夜の元彼からの電話で攻められ、

でも、自分で選んだ道。
先輩には迷惑をかけられない。
先輩は私が守る。そう自分で決めたことだけれど、
でも、心の中はスカスカの状態だった。

満たされたい・・・

おかしな言い方だけれど、私は幼少期の頃より、
自分の親に頭をなでてもらうといった感覚がなかった。
彼氏と呼べる存在ができて、男の人の腕でぎゅっと包んでもらうと
そこに自分の居場所を再確認できるようで、
頭をなでてもらえると心が和み、胸の中で落ち着きを感じていた。
そうやって今まで、自分のバランスを保てることができていたけれど、

今まで憧れていた先輩にはそんなこと思っても見なかった。
でも・・・
このスカスカの自分を何とかして欲しかった。


先輩との時間がどんどん過ぎていく。
楽しいおしゃべりも1時間が限界。



「あ、あの・・・」

もう、我慢が限界だった。

「お願いがあります・・・。」

「ん?何?言ってみて?」


私は・・何も言わず、先輩の正面に抱きついた!

「ちょっ・・、何するんだよ!!」

びっくりして一瞬私を離そうとした先輩。
それでもその胸の中に、私は飛び込んだ。

「ごめんなさいッ、1分でいいんで、このままでいさせて」


人気のない駐車場。
私は、大好きな先輩の胸の中ですうと呼吸した。
あったかい先輩の胸。
まわりは本当に静かで、
ただ心臓の音だけがダイレクトに私の耳から入ってくる。
乾いた木に水が浸透していくかのように、
私の中にどんどんと暖かいものが流れ込んでくる。
満たされる。
満たされていく。


「・・・充電完了。」

そういうと私はあわてて先輩から離れた。

「なんなんだよ、一体・・・」

先輩の顔が真っ赤だった。
もちろんそれ以上に赤かったのは私だけれど。

この歳になって、まだ二人はプラトニックだった。
手しかつないだことがなかったふたり。
年齢は重ねていても心の中はまだ15歳と16歳の
淡い恋心のままだったのだ。








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.09.15 03:38:02


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: