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JAPANESE GIRLS&BOYS
蛙声 1
こんな雨の中でも部活がんばるんだな。僕よりも遥かに成績のいい級友たちを、横目で見送った。僕はまだ帰ることが出来ない。提出物が終っていない。机の右上には三冊のワークが、白いページのまま積まれている。
雨音に混ざって、田んぼなど無いはずなのだが、蛙声が聞こえる。意識すれば人の声も混ざる。
僕が提出物を完成させたのは、イヤホンを耳に突っ込んでから二時間経ってのことだった。流れ続ける音楽が、勿体なくも感じられた。普段、音楽を聴きながら文字を書いたりはしない。外からの音を遮断するためだ。
「イヤホンって」
ドアはいつの間にか開いていた。
「便利だよね。」と言いながら、深山環は僕の方へ歩いてきた。いつものように鞄をずるずると引き摺って。彼女の鞄は、いつも引き摺られていた。中学からの知り合いで、その姿はずるずると内臓を引き摺っているようにも見えた。鞄はボロ雑巾の様に糸が飛び出し、紺の色は落ちて、泥だらけだった。物はあまり入っていないらしくて、携帯や財布は大きな手提げに入っているという。
高校受験のときに教員から注意されたが、彼女は決して止めなかった。鞄を引き摺ることを。信念なんだな、と僕は思った。
「浪川はさ、イヤホンの権力を使っているの?」
「何、それ。」
彼女の鞄は僕の足元に放り出された。ファスナーはきちんと閉められている。
「イヤホンはね、付けているだけで周りを無視していい権利を持っているんだよ。だって音楽を聴いているんだから、聞こえなくてもしょうがない。楽でしょう?誰かに助けを求められたって、聞こえていないふりをすればいいんだから。それって何て言うか、俗世遮断権。」
深山は、暇さえあれば持論を僕に聞かせに来る。しかし僕でなくても良いのだ。誰かであれば彼女は満足するであろう。手近な僕で、何かを発散しているように思える。
「本当に音を聞いている人なんて少ないよ。携帯のボタンを高速で連打しながら、音楽が好きだっていうのよ。多分五十音しか繰り返してないんじゃないかな、頭の中。あいうえ、あい、あいうえおって。」
深山は一人でけらけらと笑った。ふと、僕は響いていた蛙声を思い出した。
「だから斬ってるの。流れ出す音へのハナムケに。」
「え?」
天に昇ろうとする蛙声は、張り巡らされた電線に引っかかってしまう。だから天に届くことは無い。だけれども、電線を伝ってどこかへ響くことになるのだ。例えば、この教室とか。
「コード」
生徒手帳と、手鏡と櫛が入っている胸ポケットからは、裁縫用の糸切バサミが出てきた。僕はぼんやりと最近の、学校で音楽再生機のコードが切られる話を思い出した。深山はシャキシャキというその音を数回楽しんで、僕のコードを挟んだ。
「ちょっきん。」
彼女は僕のコードを斬らなかった。
「轢かれた蛙の死体は格好いいよね。」
僕は深山と一緒に帰宅している。彼女は僕のコードを斬らなかった。彼女は雨の日にでも鞄を引き摺っている。教科書やノートは手提げに入っているから濡れる心配はないそうだ。では鞄には何が入っているのか。
「なんで」
「だって、ほら、切腹して腸をブチまけた武士みたい。」
深山は自分の腹を親指で指して、右から左へ一の字を描いた。
「俺には万歳して喜んでるようにしか見えないな。あんな間抜けな顔だから。」
蛙の話をしながらも、その生きた姿を見ることは少ない。塀で囲われた家の庭にでもいるのだろうか。蛙声はどこから響いているのか解らない。
引き摺られた深山の鞄は、雨に濡れていくらか色を取り戻したかのように見えた。ボロボロになりながら、なされるがまま磨り減る鞄は、何だか大人たちに似ている、と思った。そして自分の未来を連想させた。何を思って深山は鞄を引き摺り続けているのだろうか。
「あ」
隣を歩いていた薄い水色の傘が止まった。僕はその傘の骨が、一本だけ折れていることに気が付いた。
「子供、ほらそこの水たまりに。」
指差す方を見てみると、確かに小さな人影が見えた。黄色い帽子を被っているところを見ると、どうやら幼稚園児らしい。この雨の中、傘もささないで、地面に刺さるように立っていた。
深山はためらいもせずに子供に駆け寄った。哀れな鞄は、道路にガリガリと音を立てた。ささやかな抵抗のようだった。僕はそのあとを早足で追う。
駆け寄った深山は、その水色の傘を落とした。折れていた骨の部分が不自然に曲がる。
子供は酷い顔をしていた。顔面の右半分が腫れ上がり、痣は淀んだ紫色で、それを冷やすように雨が濡らしていた。足は踝まで水たまりに浸かっており、膝の辺りが鬱血していた。子供は辛うじて開く左の眼球を、ぎょろりと僕たちに向けた。その視線に恐怖の色はなく、ただ鈍い光を放っていた。子供は深山に手を伸ばした。袖から覗いた腕には、顔とはまた違った色の痣があった。一瞬、子供が笑みを浮かべた気がした。
僕はその手を蹴り飛ばした。反射的に。深山がその子と同じ目に合わされるのではないかと思ったからだ。その手でつかまれた瞬間、深山が痣の色に染まってしまう幻を見た。蹴ったときの感触は柔らかく、そして千切れて飛んで行ってしまいそうだった。勿論、腕は付いたままだ。子供はバランスを崩して水たまりの中に倒れこんだ。それと同時に僕は走り出していた。
沈黙の中で、蛙声だけがどこかで響いていた。
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