JAPANESE GIRLS&BOYS

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幸福の配分 第二話


 俗に言う、ギャルゲーというモノである。
 尤も、ギャルゲーなどという言葉は既に死語であるのかも知れない。しかし、死語になってしまったところで世の男子のためにギャルゲーはなくならない。世のモテない男子のためにもギャルゲーは生き続けるのである。
 そして、私もギャルゲーを心のオアシスとしている一人の男子である。
 丁度その時、私はゲームの中で放課後の教室にいた。勿論、都合良くそこにはクラス一の可愛い女の子がいる。
 私がしているギャルゲーは非常に凝っていて、台詞が選択形式ではなく、入力することが出来るのだ。そして、キャラクターもそれに合わせて返答をしてくれる。凝ったシステムなのでコアなファンにしか受けず、市販はされていない。しかし、コアなファンである私はそれを迷わず購入した。システムがシステムなのでかなりの高額だったのだが、そんなことは気にしない。私は金額以上の幸福を、このギャルゲーから受けている。
 さて、話を戻そう。今日は金曜日である(ゲーム内で)。どうやら、この状況はクラス一可愛い女の子をを週末デートに誘おうというイベントであるらしい。
 ふふふ。
 こんなありきたりなイベント、私なら難なくクリアしてみせる。
 秘技〈思念集中〉!
 私は心の中でそう叫び、意識をギャルゲーの中にずぶずぶと沈めていった。
 私は教室の中でぼんやりと外を眺めている、草薙硝子に近づいていった。ガラスのように透き通った肌。後ろで纏められた艶やかな黒髪。どれをとっても素晴らしい!
「草薙さん、ちょっと良いかな?」
 私は彼女に声をかけた。彼女はうん? といった様子で首をかしげながらこちらを向く。
「どうしたの、道明寺君」
 断っておこう。私は決してここで某有名天然パーマを意識して名前を付けているわけではない。第一、私はあの漫画が好きではない。
 私は自然な動作で、すっとポケットから二枚のチケットを取り出した。
「これさ、実は新聞屋さんから貰ったんだけど、明日のコンサートのチケットなんだ。明日は忙しいかい? 出来たら、僕と一緒に行ってくれないかな?」
「え、でも……」
 突然のことにしどろもどろになる草薙さん。ここで、畳み掛けることを躊躇してはならない。さあ、行け! 私よ!
「あ、御免。前日に言うのがいけないよね。でも、ちょっと君に話しかけるのが恥ずかしくて」
 ここで、新たな一面を見せておく。そして!
「でも、君が僕と一緒に行ってくれたら嬉しいな。君を引っ張って行けたりするかい?」
 私は真っ白な歯を見せて、にっこりと微笑んだ。見る見るうちに彼女の顔が紅潮していく。そして――。

 数秒後、私は勝利の喜びを噛み締めていた。完璧だ。素晴らしきは私のテクニック。これで、私の週末の予定は決まった。
 明日、リアルタイムで楽しむこととしよう。
 そう思って、私は部屋の電気を消した。


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