JAPANESE GIRLS&BOYS

JAPANESE GIRLS&BOYS

幸福の配分 第三話


 そんな音を立ててゲーム機が作動した。
 私が朝早くからゲーム機の電源をつけたことには意味がある。
 それは勿論、昨日の続きをリアルタイムでする為である。
 待ち合わせ時間は9時。中央公園の噴水の近くであった。
 しかし、現在ゲーム内の時間は7時を示している。
 何を考えているのだお前は、だと? 
 ふふふ、愚か者めが。
 このゲームの素晴らしさを紹介してやろう!
 まず、このゲームではデートの日に着ていく服を洗濯することが出来る。勿論それによって、相手の女の子の好感度も変化するのだ。要するに、今から私は今日着ていく服を決めるのである。
 しかし、ここまでならば普通のギャルゲーには良くある話ではないだろうか。ここからがこのギャルゲーの素晴らしいところなのである。
 デートの待ち合わせ場所に行くまでに様々なイベントが発生するのだ。
 例えば、事故が起きて待ち合わせ時間に遅れてしまったり、乗っていたバスがバスジャックに遭ったりする訳である。
 よって、プレーヤーはそれに対して様々な対策を講じなければならない。それに要する時間を見込んで、この時間帯からデートに向けての準備をしているわけである。
 それでは、始めようではないか!
 秘技〈思念しゅう――
「かずやー」
 ドンドンとドアを叩きながら、突然母が私の名を呼んだ。なんだ突然。今は地球の存亡に関わると言っても過言ではないほど重要なときであるというのに。
 母はそのまま私の返事を聞かずに部屋の中に入って来た。私は間一髪でゲーム機の電源を消す。息子のこんな様子を見せられるか。勘当される。感動されはしないだろう。
「何? またゲームをやってたの? ちょっとは外に出て運動しなさいよ。まあ、良いわ。ちょっと台所の蛍光灯が切れちゃったの。買ってきてくれない。ああ、買ってきてくれるの。ありがとう。じゃあ、お金はこれね。すぐに行ってきてちょうだい」
 母はそこまで嵐のような勢いで一息に話すとばたんとドアを閉めて出て行った。部屋の中には五千円札を手にした私だけが取り残されてしまった。
 私は、しょうがないかと思いながら立ち上がる。少しぐらいは親孝行もせねばなるまい。
 私はそれなりに外出着に着替えて家を出た。
 電気店までは大した距離はない。精々、歩いて五分と言ったところだ。
 私はふんふんと鼻歌を歌いながら歩いて行った。久しぶりの日差しは少し眩しい。
 しかし、読者諸賢。勘違いなさるな。決して私は引きこもっていたわけではない。夏休みなので外出を控えていただけである。夏の陽気に浮かれて遊び騒ぐのは間違っている。
 と、そんなとき私の目の前に一人の女性が現れた。その女性を見た瞬間、私は心の中で母に向かって毒づいた。何故私に遣いなどさせたのだ。私よりよっぽど頼りになる姉にでも任せておけば良いではないか。
 ああ。
 チクショウ。
 今日は厄日か。
                                 (続)


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: