青藍(せいらん)な日々

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第17話 勇気



どんなに練習しても、最後はえいやっと少しばかりの勇気が必要になります。この一回の勇気でその上には広大な世界がある。人間は自分が思った通りの行動をするものです。行きたい先の夢が恐怖以上に強いものなら、勇気は沸いてくる。恐怖の方が夢をしのげば、勇気を搾り出す事はできない。どちらにしても、自分の思ったとおりの行動です。つまり、行けないのは、夢がまだ弱いと冷静に考えれば、その夢をもっと強く持つ努力をすれば良い。いつ行くかは別にしても、行きたい先を決めて、ルート、距離、行った先の情報など、具体的に調べてみたらどうでしょうか。
燃料は足りるのか、どれぐらいの時間が必要か、そういう具体的な計画を作る事によっても、夢は大きく前進するのではないかと思います。まずは近場で、そういう事を計画してみてはどうでしょう。具体的になればなるほど、行動はたやすくなると思うのですが。

また、そういう計画を持つと、自分のヨットをもっと知りたいと思います。エンジンの簡単な整備の仕方やその他のメインテナンスも覚えてくる。日常乗る場合も、そういう気持ちで乗る。そうすると漫然と乗っていた時とは、心構えが違ってくるのではないでしょうか。経験者の話も参考にしてできるだけの情報を集める。これでも、最後は勇気が必要です。しかし、以前よりもっと簡単に勇気を出せるはずです。この一回の勇気で、世界は広がると思います。

でも、仮に最後の勇気が出せなかったとしても、それでも良いではないですか。必ずしも、あの島へ行く必要など無いのです。ある目的意識を持って、日常乗ってきたら、別の世界がある事も必ず気づかれる事でしょう。セーリング自体の素晴らしい体験も経験するはずです。そういう世界をもっと突っ込んで経験するのも良いと思います。

遠くへ行くのは船旅、旅を楽しむ。近場はセーリングを楽しむ。ふたつの世界がある。旅は誰かを誘っていけば良い。一人ではセーリングを楽しめば良い。とにかく楽しむ事が第一です。場合によっては行く事が目的で、楽しむ事が二の次になる場合もある。これでは本末転倒です。どうやって行くかというより、どうやって楽しむかを考えるべきではないでしょうか。

旅先の目的地に意識が行けば、何時間もかかる過程を楽しむ事がおろそかになる。船旅はプロセスを楽しみ、目的地を楽しむ。セーリングは目的地は無く、セーリングを楽しむ。どちらがより楽しいのかどちらが上でも下でも無く、自分にあった楽しみ方を実行するのが良い。



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