せいやんせいやん

せいやんせいやん

その12(10話)


【闇よりも】


騒ぎで目覚めた。

真っ暗。

「どうしたんだあ」「停電かあ」「誰かライター……」「こっちだ」……

パーティーのさなか、居眠りしていたらしい。

「あなた、どこ?」「ぎゃ、痛てえ」「非常灯はないのかあ?」……

何も見えない。

「どうにかしろ」「ロウソクはあるかあ」「マッチマッチ」……

明かりが点いた。

だだっ広いパーティー会場。

おれひとり。






112
【あの世~ルーシーの場合】


敬虔なカトリックのルーシーが

ベッドの上で静かに息を引き取ると──


「しゃぶれ!」

キリストがフェラ千オを強要していた。



筆者注:楽天さんがフェラ●オを禁止用語にしているので、

     ●(チ)を類似の漢字「千(せん)」にしました。







113
【表彰式】


次に呼び上げるものは前に出ろ。表彰する。

よしもとばなな、江國香織、Yoshi、村上春樹、山田悠介、

ギャルそね、アンガールズ、松本ちずお、大川隆法、

池田大作、江原啓之、細木数子。とりあえず、以上だ。

よし、きたな。

おい、池田、代表して表彰台にあがれ。

もたもたすんな! この、うすのろ!

オホンッ。

表彰状。

貴殿は、日夜骨身を惜しまず、我々の計画に協力し、

華々しい成果をあげたので、ここにこれを賞する。

2008年1月13日。

ニッポン人総白痴化計画推進委員長、金正日。

副賞50万円。






114
【珍棒流毛筆塾】


「毛筆はアートじゃあ!

 こんにちは。塾長の茶屋ノ小路カキ麻呂じゃ。

 新しい塾生諸君。これから、わしがお手本を示す。

 いいか、あの特大半紙に『太』の字を書くぞ。

 よく見ていなさい。

 まず、こうやって、ばっば、ばあーーーーっと

 勢いよくズボンとパンツを脱いで、

 下半身スッポンポンになる。

 そして、すずりをまたいで、腰を垂直に下ろし、

 股間に墨汁をたっぷりつける。

 うひゃあああ、冷たい。

 つけたら半紙の左上にすばやく移動し、

 腰をおろして、

 おりゃあああああああああ! っと水平線。

 そして一気に、おりゃあああああああああ!

 おりゃあああああああああ!

 ちょんっと」

「先生、さいごのハートマークがなかなかしゃれてますねえ」

「な、なにぃ!」

「あっ、しつれい。りんごマークでした」

「な、な、なんだとー! せめて、スペードって言ってちょーだい」






115
【月曜 朝 通勤電車】




〔女子高生〕〔女子高生〕〔会社員〕【ドア】【ドア】〔女子高生〕〔女子高生〕
 《吊革》   《吊革》   《吊革》(OL)(OL)(OL)《吊革》 《吊革》
(老人)(会社員)(会社員)(OL)(OL)(痴漢)(OL)(会社員)(OL)
(先生)(OL)(女子高生)(会社員)(助教授)(OL)(OL)(OL)(老人)
(女子大生)(女子大生)(老人)(女子大生)(痴漢)(OL)(痴漢)(主婦)
《吊革》   《吊革》   《吊革》(男)(女)(女) 《吊革》   《吊革》
〔女子高生〕〔女子高生〕〔会社員〕【ドア】【ドア】〔女子高生〕〔女子高生〕






〔だり~~〕〔ピポパッ〕〔会社か〕【ドア】【ドア】〔ぽ~~~〕〔・・・・・・・〕
 《吊革》   《吊革》   《吊革》(昨晩)(フン)(ヘヘ)《吊革》 《吊革》
(ヨロ)(だり~)(しゃき)(ヘラ)(びし)(ムラ)(イヤ)(へへへ)(ムカ)
(うう)(あれ)(ポケ~)(よしゃ)(オホン)(イヤ)(結婚)(あん)(ヨロ)
(ABCD)(就職就職)(ヨロ)(へらへら)(ウシシ)(イヤ)(へへ)(きゃ)
《吊革》   《吊革》   《吊革》(眠ぃ)(辞)(ゲッ) 《吊革》 《吊革》
〔昨晩ヘヘ〕〔今朝ウホ〕〔頑張ろ〕【ドア】【ドア】〔ピポパパ〕〔ピポポパ〕










116
【スイート・ハニー】


学食に行くと恋人のマリナがいたので隣にすわった。

マリナは食パンを食べていた。

よくみるとバターもジャムもついていない。

「なあマリナ。食パンになにもつけないで、おいしい?」

マリナは無言で自分の耳からイヤホンをはずし、ぼくの耳に装着した。

『……のため一家離散、その後全員自殺しました。

 続きまして、芸能ニュース。

 女優の秋森淳子は離婚後ノイローゼになり手首を……』

「なんだこりゃ?」

「最近開局したワンセグの“フコわらネット”よ。

 “他人の不幸は蜜の味”ってね。

 モケケケケケケケケケケケケケケケケケ……」







117
【記者会見にて】


「総理ぃ~。

 なにかと問題がある後期高齢者医療制度の

 趣旨をご説明ください」

「オホンッ! 高齢者は、とっとと死ねっ!」






118
【裁判所にて】


「判決。

 被告は血液型がB型、星座が蟹座であることからも

 わかるように、典型的な嘘つきだ。

 よって、供述の信憑性はかなり低いと言える。

 オホンッ! 死刑っ!」






119
【三途の川のむこうで】


「閻魔大王様。私は生前国家公務員として、

 国民のために骨身を惜しまず働いてまいりました」

「お。そうか。じゃ、地獄行き~!」

「な、なぜですかあ!?」

「いままで“お役人天国”にいたんじゃから、もうええじゃろう」






120
【来世~万太郎の場合】


元社保庁職員の万太郎がくしゃみをしたショックで

絶命すると──


ミツバチに生まれ変わっていた。

よほど甘い汁が好きなのだろう。









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