仕事も生活も遊びも、基本は同じ

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2009年08月11日
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『メノン』 (岩波文庫) プラトン 著, 藤沢 令夫訳9784003360163

本書では、想起説というのが出てくる。人は生まれつきなんでも知っているのだというのだというのがそれだ。これは、最近いろんな人がいっているが、まさかプラトンも言っているとは知らなかった。その証明として、ソクラテスが、奴隷のこどもが三平方の定理の証明が自分で出来る様子を、メノンに見せる。これが結構おもしろい。ところで、あなたは、三平方の定理の証明ができるだろうか。

さて、本書は、「徳は教えることができるか」というメノンの問いに対して、「徳それ自体がそもそも何であるかさえ知らない」という、ソクラテスの答によってはじまる。
  「徳とは何か」というソクラテスの問いに、「男の徳、女の徳、子供の徳、年配の者、自由人、召使、まだまだたくさんの徳がある。」と数多くの徳をメノンはあげるのだが、ソクラテスは、それらに共通する徳の本質を言うようメノンに要求する。しかし、メノンは、なかなか、うまく答えることができない。そして、「知らないものを探求することはできない」との発言をする。
  そこで、ソクラテスが提示したのは、「想起説」であった。人の魂は、何度も生まれ変わっているものだから、およそ、何も知らないものはないのだ。だから、知らないものを探求するという問いは成立しない。知らないものはないのだから。
  メノンは、以上のソクラテスの答に納得したかにみえたのだが、また、徳とは何であるかという問いにもどってしまう。
  仮設をたてることによって、「徳は知である」という結論にいったんはいたる。しかし、そのすぐ後で、徳を教える者も、習う者もいないのだから、徳とは教えられうるものではない。だから、知ではないと、さきほどとはまったく正反対の結論に達してしまう。
  「これまでの推論に従えば、徳というものは、知性とは無関係に、神の恵みによってそなわるものだということになる。しかし、徳それ自体はそもそも何であるかという問いを手がけてこそ、いかにして徳がそなわるようになるかを知ることができるだろう。」
  「メノン」の概略は以上である。「徳は知識とは無関係である」という結論で終わってしまうこの作品で、ソクラテスの言いたかったことは、その結論でもないだろうし、最後のことばから予想することのできる「徳は知識とは無関係であるのではなく、まさに徳は知である」ということでもなかったにちがいない。

  それは、「知らないことを探求する」喜びとその方法、教えるということ、習うということ、数学の重要性、そして、想起説であろう





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最終更新日  2009年08月11日 19時04分01秒
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