時の旅人

時の旅人

後日談


大学を卒業した。
朝のバイトを休んで徹夜で仕上げた卒業論文は決して満足いく出来栄えではなかったが、担当教授が前向きな評価をしてくださったので、中くらい程度の評価で卒業判定が出た。

経済的な面からも、ギリギリの状態での卒業だった。
何かを犠牲にしなければやり遂げることは出来ない。

しかし、通信教育部の場合、入学試験がない代わりに道程は厳しく、卒業できる確率は当時1割程度と聞いた。

ボロボロになりながらも脱落せずに卒業に至ったことは、自分でもよく気力があったものだと思う。
なりふり構わずという形になったのも否めないので、反省すべき点もある。

しかし、学位を取得できたことは生涯の宝物だ。
自分にもこれだけの根気があったという事だろう。

年度末に武道館で挙行された大学の卒業式にも出席した。
卒業式で感動したのは大学だけだ。

卒業式後、ささやかな卒業旅行にも行ったが、向かった先はやはり三島だった。
自分にとって、三島は心の故郷となった。

大学に入学していなければ、三島を訪れる機会はもっと遅かったかもしれない。距離も縮まなかったかもしれない。

そういう意味でも、大学通信課程への入学は、意義深いものになった。

卒業から年月が経過した。
大学も大きく変わった事だろう。


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