番外編 高校生編




昔、高校の近くに
「ハイブリッド」というカウンターだけの小さな店(昼間は
高校生や海水浴客相手にカレーやしょうが焼き丼を売り、
夜はカウンターバー)という店があった。(今もあるけど)
なんとなく行きつけになって、午前中で下校できる水曜日や
土曜日、あとどうしても授業に出たくない日に
時間つぶしに使っていた。

その店は今の私と同じくらいの歳の、
カッコイイあんちゃんが店長だった。
高校2年の夏休み前、そのあんちゃんが
高校時代に旅した北海道の話をしてくれた。
それがきっかけで、その夏、初めて北海道を一人で旅することになった。
(電車でだけど)(4泊5日だけど)


・・・
それから高校を卒業し、浪人ののちに大学に入学して
地元を離れ、「ハイブリッド」には長いこと行っていなかった。

いつだったか、久しぶりに高校を訪ねた時、
思いついて店の前に立ってみたが、店のシャッターは閉まっていた。

でも、ふと見ると
店の前に、よく焼けたいかにも海沿い住まいの女性が
ぴょこんと座っていた。
それから
あとからちょこちょこーと小さい男の子。
その男の子の顔を見て
息を呑んでしまった。

高校時代アップルタイザーをごちそうしてくれた
あの店長そっくりの可愛い男の子だったから。



あれからさらに時間が経ってしまった。
「ハイブリッド」の生姜焼き丼、また食べたいなー。


ある夏の日のこと。







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