続き~月夜の綺麗な珍道中~

~月夜の綺麗な珍道中~

2.来客、道連れ

朝方、店の前にうろつく人を発見した。
見るからに、年老いていて、目も、あまり見えないと思う。
何故か困っている。どうやら、俺はこういう事件に巻き込まれることが多いと二十年越しに思った。
老人は、俺が通りかかったことを感覚で分かったらしい。
「もし、そこの少年・・・」
どうやら、俺はまだ十代に見えるらしい。
「じーさん。俺、一応二十歳だ・・・」
「そりゃスマンかった。」
ふぉっふぉっふぉと、笑う老人の背後にどうやら怪しい物の怪が憑いているっぽい。
向こうが切り出す前に、どうしたか聞いてみる。
娘が氷結の街の雪姫にさらわれたらしい・・・・
(そうか。だからじーさんの後ろを見ると寒々しい光景が見えたんだな。)
一人頷きその寒々しそうに笑う老人をもう一度見直す。
「じーさん何なら、俺がその娘とやらを助けようか?」
突発的かつ、軽く言ってしまった。
この老人にとってはありがたい申し出だろうが、このことを早咲に言ったら・・・イヤ、でもイイか。
どうせ、イヤでも氷結の街に行かなきゃ行けないんだからな。
早咲もそんなに怖いヤツじゃない。
どっちかってーと結構優しいと、思う・・・どうだろう・・・
ま、いいか・・・そんなことを交差させながら、考えをまとめる。
「少年・・・良いのか?」
老人が遅い返事を出す。
「ああ、もちろんッスよ」
笑って応える。その方が信じて貰えるからだ。
「だから・・・俺は少年って歳じゃねーッスよ・・・」
含み笑いをしながら店の鍵を開ける。
「あ、じーさんなんなら茶でも飲んでくか・・・・・」
振り返ると、さっきまでいた老人の姿はなかった。
まるで、”そこ”から綺麗サッパリ跡形もない・・・昔聞いたかの国の忍者のように。
「な・・・・なんだったんだ・・・?」
不思議に思いつつ、店にはいる。
いつも通り、店の雰囲気変わらず。
むしろ寒々しい。昨日まで居た客がいなく、ほんとに朝早いからだろう。
窓の外は、ほこほこ木漏れ日ができるくらいまで暖かな日差しが指している。
ちょっと、背伸びをして、自分専用のコーヒーカップに作りたてのコーヒーを入れる。
「・・・にがかったな・・・」
口ずさみながら、外の陽気を楽しげに見る。

今日で、少しばかり留守にすると言うことを常連の客とか、友とかに言う。
「店長さ~ん。しばらく留守にするの?寂しいわ~」
いつも通り甘ったるい声で、言い寄るマダムミーニャ・・・
押し倒される勢いと、甘ったるい香水のにおい。
ハッキリ言って倒れる寸前だ・・
「マ・・マダム・・?ちょっと、離れてくんないかな」
滝汗かきつつ、片手を撫でられまくる。
甘ったるい香水と声音でモーション・・バレバレ・・・
「店長さ~んまだ旅立つまで時間ありますわよね?」
今度は何だ?マダムが言うことはろくな事が起こらない。
「はぁ、ま・・まだ時間は少しありますけど・・な・・何でしょうか?」
精一杯の笑顔多分ひきつる一歩手前
「すこ~し相手して下さらないかしら?」
ハート目が伺える。
また、何か企んでそうだ。
「えっと・・ま・・・まだ、常連さんの相手があるから!!ですね・・」
しどろもどろに説明。
ひょいひょいマダムの言うとおりにマダム家に行けばまた、何かあるな、とか思いつつ逃げる口実を探っている。
そんな最中、カラランと店の鈴が鳴る。
紫髪の常連さんがまたどことなく入ってくる。
俺の服、2番目に注文してくれた人物だ。
できた当時はそんなに売れて無く、でも、すばらしいと褒めてくれた、友人だ。

「いらっしゃい~ミド!!暇だよな?暇だろ?ちょっと、上がっていけ。」
入ってきてそうそう何言い出す?と言った顔で寄ってくる。
「はい?暇ですが・・・?」
「助かった!!サンキュ、ミド!!」こそこそ奥に引っ張り込む、かなり不自然きわまりない。
「マダム。済みません、ちょっと、旧友が来たので」
これもまた憂いな笑顔。
これでもか!!と言うくらいの激スマイル。
「何ですか?急に・・・?マダムのお相手したらいいじゃないですか?」
人ごとだと思って、ひょうひょうと事務所から顔を出そうとする。
「いいんッスよ!!また、とんでもないことに巻き込まれるッス。」
両肘抱えて背もたれによしかかる。
「そうそう、ミド、俺な、ちょっと旅に出るッス」
昨日の事を事細かにミドに言付けす。
「はい?旅ですか?」
聞き間違ったように耳を確かめ、俺と同じ言葉を繰り返す。
「―――――って、ことで、凪斗のヤツが昨日来たんッスよ。」
久しぶりに来た友人を後ろにコーヒーを入れつつ説明する。
「ほほう、では崇店長しばらく・・といっても一ヶ月くらいでしょうか、留守にするんですか?」
「まね。ミドもシジマとかいなくてあれだろ?暇っしょ?」
「そうですね?彼は今どこに?てな、かんじですかね?」
ミドの友人のシジマは子供を引き連れて、旅の真っ最中らしい。
一応自分もシジマにあったことはあるから、どことなく顔つきはわかる。
「旅先でシジマにあったら、宜しくいっとくッスよ」
爽笑いしながら、入れ立てのコーヒーを、ミドに渡す。
「急というか、何というか、よく行く気になりましたね~?崇店長。」
コーヒーを飲みつつミドは上目で話しかける。
どうやら何かを知ってるらしい。
「う~ん・・・実際、曰く付きの泉とか言っても、俺は見たことがないから、良い機会だし行ってみようかな?って思っただけだしな~」

楽天的に応える。
それを聞いたミドから一つの忠告を聞いた。
「崇店長?曰く付きの泉”トゥーサイトの泉”は来た者を引き込むと言われています。くれぐれも気を弱く持ってはなりませんからね。」
ニコニコと笑いながら忠告してくれるミドはやはり、何か知っている様子だった。
だが、あえて聞かず、自分もニコリと笑い返す。
「さて、長居は禁物、お忙しい崇店長のご迷惑かな?」
コーヒーを飲み終わり、ガラス張りのテーブルにカップを置く。
茶菓子あるのに食さんで行くのか・・・・もっとも珍しい光景
何か企んでいそうだな・・・そう思いつつ、喉の奥から出た答えは「え?そうか?じゃ、またな~。」そんな普通の答えだった。
私的にあんま面白くね~・・・・まいいか。
ミッドは含み笑いをしつつ立ち上がった。
すぐさまにでも、自分も準備をしなくてはという勢いっぽい。
「崇店長、がんばって、道中お気を付けて下さい。(影ながら見てますよ)」
最後の方何かぼそっと言われた気がしたが、あえてツッコミ入れなかった、面倒くさいタダそれだけの理由。
「お・・おう、大丈夫ッスよ。早咲と凪斗とうちのアルバイターも付いてくるし」
誰が一緒かいってなかった。
アルバイターと聞いたとたん、ガタタと足をくずした、ミッドの格好はこの世にないくらいのおもしろさ。
笑いながら背をさしのべて、取りあえず立たせてみる。
一息ついて、ミドが急に大声で問いかける。
非常にでかい声店に迷惑この上ない声

「ア・・アルバイターって・・か・・乖里お嬢さんもですか!!?」

声が裏返りつつ、店の中まで反響
一斉に事務所の方に客の目がいく。

幸い、事務所は出っ張りの奥にあるから、そんなにも客の目に
はふれない。
一人で、店員してる乖里には悪かったが。
「ミ・・ミッド!!声でかいッスよ!!」
大慌て、しかも客放り出して、乖里が店からひょこっと顔を出す。
「ミッドさん!!声が大きいです!!」
それだけいって、フロアーに戻る。
かなり慌てていた厚底の靴がカクッと倒れそうになっていたが、持ち直し、平然と客の対応に向かう。
「オイオイ・・乖里・・」
そんな乖里を見つつもなんか哀れでならなかった。
「そ・・・それは良いとして、ですね~・・・乖里お嬢さんをそんな危険な泉に行かせていいんですか!!」
ひっそり、こっそり耳打ちをするように崇に言い聞かせる。
手で、ミッドを払いながら乖里が参加することを説明し直す。
「だ~から、乖里はクインシーていう称号持ってるンッスよ!!したっけ、しかたないっしょ?称号見せられたんだもん」
乾いたように笑って、こうも、反対派がいたとは、心内で思う。
やっぱり、行かせない方がいいものか・・・
心中、みんな乗り気だけど、俺だけはどうも乖里を連れて行くことに抵抗があった。
女の子っつー事もそうだが、なにか・・・何かが引っかかる
これから旅するに当たって、重要な・・・・何か・・・
「・・・んちょう・・・・崇店長!!、大丈夫ですか?」
ほんのり声で今の状況、首を振り、あたりを見る。
心配そうなミッドの顔が見える。
「崇店長?何か、考え事ですか?」手を目の前でフルフルするミッドはイヤに心配そう。
「あ・れ?なに?何かおかしかった?俺。」
「ええ、もう、いつのも数百倍変さMAXですよ。」
からかいがてらに返ってくる声にぴくっと反応する。
「・・!!!変さMAXって何ッスか!!」
だから、からかわれるのだろう・・。
自分でも分かってることだけど。
片手で、フルフルミッドを払いのけて立ち上がる。
カップを二つ洗い場に持っていく。


「ミド?やっぱり乖里連れてくのは俺的にも何か、なぁ・・・」
弱弱しく自信なさげにミッドに愚痴をこぼす
いつものことだけど、そんな愚痴をあたかも自分のことのよう
に聞いてくれる、ミッドには感謝しなくてはいけない。
「ふむ・・・ま、私もその綺麗な月の日に港町まで用事があるので途中までご一緒しますよ。」
ひょうひょうと言うミッドの答えを聞いてがくっと片足ずれる。
「な!!お前も行くんか!!」
茶菓子に手を付けようとするミッドをビックリさせる。
「何ですか、急にビックリして、お茶菓子落とすところしたでしょうに。」
のんきに茶菓子を頬張りつつ人差し指を軽く立てなぜ付いてくるのか、説明。
「崇店長、良いですか?月夜が綺麗なときは多くの旅人が明るい月明かりの下を歩くには丁度良いのですよ。魔物もあまり出ないと言うし。」
フリフリと片手の人差し指を横に振って当たり前かのような口ぶりで言う。
「ですから、私もその流行に乗ってみようかと!!」
って、流行かい!!小さくツッコミ何となく苦笑い。
そうか、流行っていたんだな・・何となく納得、そんな自分が悲しい・・(遠)
「ふ~ん・・・流行ね・・」
ニコニコ笑いながら、流行なるモノを語る。
そんなことをして、人入りがだいぶ落ち着いた。
「おっと、いけない長居しすぎましたね~」
がたっと席を立つ。どうやら、商人魂燃えてるようだ。
「早速私も準備をして来ますね~」
ひらひら手を振って、乖里にお辞儀をして、出て行く紫髪の友人は 楽しそうに見えた・・・
「さて、俺も準備ッスね~。乖里、店早いけど閉めて良いぞ」
こくこくっと頷いて、OPENと書かれた看板をCLOSEにして店閉め。
乖里も準備があるのでそうそうに家に帰らした。


さ、準備ができた、後は仲間達を待つのみ。
すると、大きな足音と共に青龍号に乗った早咲が到着。
「お~い、崇こんなもんで荷物良いかしらね?」
その問いは俺の度魏帽を一気に抜いた・・
青龍号は今にもつぶれそうなくらい重そうな荷物を抱えている。「早咲・・俺的にちょいと荷物多いんでないかい?」
早咲は、やはり、「あら、そう?」といったカンジでいらなそうな物をぽんぽん魔法で飛ばしている。
こういうときは魔法は役に立つな・・・と、つくづく思う。
すると、東の方角から、凪斗と乖里が一緒になって来た。
「丁度、乖ちゃんに会いましてね(のほん)」
やはりのほほんな声・・・
「そーそ。凪ちゃんの鳥に乗っけてもらいました~(ニッコリ)」
同じ人種・・なのか・・?と違うくらい乖里も凪斗ののほほんが移っている。
「さ~て、揃ったわね?行きましょうか?」

挿絵

早咲がイラナイ荷物を大方除去して、一汗かきつつ口に出した。
「あ、まって、ミッドも途中までだけど一緒について来るみたいッスよ?」
説明するの忘れていた・・・盲点だ・・(爽)
「おや?ミッド殿もご一緒ですか?これはこれは面白い旅になりそうですね~(のほん)」
なんか、良いように言いくるめられたような・・・そんな気がしながら先ほどの話を皆に聞かせる。
説明の最中ふと思う・・・ミッド・・・もしや、また余計なことまでメモに取られ・・・・そうな・・・。
「や~や~皆様おそろいで」ほんのり声がどこからともなく聞こえる。
皆、一斉に声の主を捜すが見あたらない。
「・・・ミド!!どこッスか!!」
「やだな、崇店長。ここですよ」
その声は明らかに上から聞こえる。
上を見上げると同時にすさまじい羽音と機械音が混じる。
夜中にこれだけ大きな音を鳴らされると周囲の民家に迷惑が・・・。
ばらばらと羽音。
機械を通して聞こえる声

その出で立ちはどこぞのサイバーオタク・・・
不思議な物の数々さすがは商人・・何でもこさえる。
「ミド、遅い・・そして、近所迷惑だろ・・・(遠い目)」
「やや、それは失礼しました!!あっはっは、いやね、どうも時間に間に合わないと思って試作品001号機を乗ってきましたっけ、予想以上の爆音で・・・」
頭をかきながら事の説明をする姿は何とも面白かった。
「ま、いいや取りあえず皆揃ったし出発すっか」

+++++++++++++++++++++++++++++
あ~・・暇が!!!しかも更新が!!(遠)


No,001
試作品001
自分の想像だからかなり変・・・しかも色無し




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